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「今日の議題は、美人コンテストの件で……」  それにしても、どうして一つのクラスにイケメンが集まるだなんて摩訶不思議な現象が起こるんだろう。そんなD組と相対するように、うちのクラスの女子は可愛い子や美人が揃っていたりするんだけど、それはそれでまた不思議な話だ。  ミスコン代表が結木さんじゃないとか、その学園一とも言える美人の結木さんに代わる田辺さんがいるとか。絶対に入賞できなさそうな男子とは裏腹に、女子の部はミスコンと裏コンの二冠も夢じゃないんじゃないかな。 「じゃあ、女子の代表は裏コンに結木さん、ミスコンは田辺さんに決定ね。男子の表の代表は橋本くんで行くとして、問題は裏ミスコンなんだけど……」  5時限目が始まってすぐ、ホームルームの本題は女装コンテストの代表の話題になった。エントリーの締め切り日は今日の放課後までだ。 「優勝……、ううん。入賞もまず無理だとしても、エントリーしないわけにはいかないんだよね」  話し合いの議長でもある学級委員長の三橋さんはそう言うと、困ったなといったふうに小さく首を傾げた。  委員長の三橋さんにも言えることだけど、うちのクラスの女子は本当に可愛い子ばかりだ。彼女はメタリックピンクのフレームの眼鏡をくいっと押し上げて、目にゴミでも入ったのかごしごしと目元を擦った。 「推薦すると言ってもあれだし、何か意見はない?」  眼鏡を定位置に戻しながらそう言うと、視線を前に戻して。 「メイクでなんとかなるだろうから、くじ引きでもいいんじゃない?」  最終的にはばっちりメイクの女子のそんな提案で、裏コン男子のクラス代表はくじ引きで決めることになった。  まあ……、ね。うちのクラスの場合は、入賞は絶対無理だわな。そうなると狙うのはパフォーマンス賞だったりのお笑い部門だから、代表は別に誰でもいいんだけど。結局は橋本以外の男子全員でくじを引いて、当たりを引き当てたやつが代表で女装をすることになり。  ここに来て一抹の不安。実は俺、くじ運がとてつもなく悪いんだよな。悪いんなら当たる心配はないと思うだろうけど、絶対に当たりたくないくじに限って、何故だか見事に当たりくじを引き当てたりするんだよ。  不安を抱えたまま、ティッシュボックスで作った手製の箱に手を入れた。小さく折り畳んだ紙片の一つを引き上げる。  心の中で当たらないことを祈りながら、俺は恐る恐るその四つ折りにされた紙片を広げた。

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