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第12話
まあ、詳しい事は追々、とロワンが話を切った
そして俺へと向き直り、少し申し訳なそうな顔をする
「お願いがあるのですが…トウヤのステータス、見せていただけませんか?」
「えっ、見せれるんですか?」
そんな顔でお願いが…と言われてとんでもない願いかと身構えたのに、実際には何とも検討外れなお願い。
ステータス見せれるの?ほんとに?
ええ?あの画面他人にも見れちゃうの?どうなってんのこの世界
もしかして…今朝の画面とかアルドに見られてたのだろうか?何も言われなかったけど…
「そうですね。えっと、お手本として。
…ステータスオープン」
ロワンがそう言うと、目の前に出た見覚えのある画面
でもそこに書かれている事は、俺の物とは似ているようで似ていない
「れべる、ごひゃくじゅうに…」
思わず舌ったらずな喋り方になってしまった。
それもその筈、許して欲しい
レベル512
HP3846
MP5248
適正魔法/水・風・闇
俺のステータスどんなんだっけな…
レベルマックスとかの概念はないの?どうなってるの?
「人に見せたい。と思えば見せれますよ」
このステータスを見た後に俺のステータス出すの?恥ずかしすぎるんだけれども…
お願いします、とロワンが眉を下げて笑うものだから、こんな些細なお願いくらい答えてあげようと口を開いた
「ステータスオープン!」
前回同様、目の前に現れる画面
よく見知った俺のステータス画面だ。
「……そんな…」
俺のレベルの低さに驚いたのか、ロワンが小さな声を出し、目を見開き固まってしまった。
さすがにこの反応はちょっと傷つく…
仕方ないじゃないか!
俺だってやだよ、こんなショボいステータス
「おうおう、どした、俺にも見せろ」
モグモグとマズイ肉を食べ続けてたアルドがひょいと首を出し、俺のステータス画面を覗き込む。
そして、今日3度目となる怒りを孕んだアルドの低い声「おい!」が静かな森に木霊した。
なんだ、なんだ
レベルの低い事がそんなに悪い事なのか?
俺だってこれからレベル上げするんだ、そしたらもう少しマシなステータスに…と少しばかり落ち込んでいると、首筋にヒヤリとした物が触れた。
視線をゆっくりずらすと、そこには首筋に充てられたアルドの剣
剣を抜いた事さえ気づかなかった
その冷たい剣の感触に、冷たい汗が背中を伝う
「…暗黒魔法が使えるのか」
とても低いアルドの声
いいえ、適性があるだけで、魔法は使えない。
と声に出して言いたいが、少しでも動けば剣で切れてしまいそうで、恐怖のあまり唾液すら飲み込めない
「頭も筋肉ですね。MPを見なさい」
カチコチに固まってた俺の横でロワンがそう言うと、綺麗な指先でアルドの剣を掴み、俺の喉から少し離してくれた
目の前でキラキラと太陽を反射させる剣にまだ恐怖心は消えないが、少しの安堵で口内に溜まった唾液をゴクリと飲み込む
「あ゛?MP……3??…ぶふぉっ、ブファ、ハハハハハハヒィー!!!!!」
今まで人に剣を向けてた男とは思えない程、アルドは下品に笑い転げ回っている
これには流石の俺も少しだけムカっとした。
隣に居るロワンもこれでもかっていうくらい冷たい目でアルドを見ている
だが肝心のアルドはそんな超絶冷えたこの空気を読むこともなく笑い続けた。
うーーん。今朝この鬼が優しいなんて思った俺に教えてあげたい…この鬼、全然親切な優しい鬼じゃないかも。ただの変な鬼かも
「トウヤ、すみません。」
本当にゴミを見るような目でアルドを一瞥したロワンが、申し訳なそうに頭を下げた。
ロワンは何も悪くないのだから謝る必要なんてないのに…
「それと…その肉も、美味しくないでしょう?無理して食べなくて良いですからね」
そう言い俺の手元に残る串肉を見た。
やっぱりこれ美味しくないんだ…
たしかにさっきから、肉を食べていたのはアルドだけだった。
ん?待てよ?
確かアルドは肉を狩に行くって出かけて行ったはず…もしかして、もしかしてだけど、この肉がそうなのか??
という事は、俺はこんなマズイ肉のためにあそこに置いて行かれて…っだめだ、思い出すのはやめよう。忘れるんだから!
そういえば昨夜、うんこすら食べたい的な事言ってたし…アルドは味覚さえもヤバいやつなのかもしれないな
「あの…俺の能力ってやっぱり低いんですか?」
とりあえずアルドの事は無視して、1番気になっていた事をロワンに聞いてみる
「…うーん。レベル1ですからね、何とも言えないです」
「ヒィ!レベル1とか赤子でしか見た事ねえ!いや、赤子はステータス開けねえから見た事ねえわ!!ぐふっ、ふふふははは!!!!」
え、待って、レベル1って赤子レベルなの?!
なんで?!
「えっとですね、トウヤ、レベルというものは年齢に比例するのものなんです」
「………は???」
「簡単に言うと、5歳の子はレベル5、20歳になるとレベル20といった感じですね」
「う、うん???」
え?でもそれでいくと…
「ロワンは何歳…」
ニッコリ笑ったロワンが答えた、「レベルの通りです」
うーーーーん。
異世界こわっ
とりあえず、不思議な事が沢山あり過ぎて、何を何から処理していけば良いのかが分からない…
アルドは使い物にならないから、とりあえず今のうちにに出来る限りロワンから情報を貰いたいところだ。
というより、町へ連れってて、という依頼、キャンセルしたい。そして改めてロワンにお願いしたい…
まずは、レベル=年齢の話
それでいくと、普通なら俺のレベルは18であるはずなんだけど何故か1
これは異世界から来た影響なのかもしれない。多分。もうそれで片付けるしかない、考えても答えは出そうにない
「…暗黒魔法って何ですか?」
次に聞きたかった話
先程アルドに剣を突きつけられた理由もここにあるはずだ。
「そうですね。大前提として、聖魔法と暗黒魔法は人間にしか使えません。
さらに言うと、ラーチル国という宗教国家にいる一部の者しか使えません」
う…これは何かややこしそう。俺理解できるかな
「聖魔法は主に回復…先程貴方にかけたポーションもこの魔法で作られてます」
「え?いつのまに…?」
そんなのかけられた覚え全くないんですけど…
「お前がアンアン言ってぶっ飛んだ時だよ」
漸く笑いがおさまったようで、アルドが得意げに言い放つ
散々笑った挙げ句、第一声目がそれとは…どこまでもデリカシーのない下品な奴…
二人して冷たい目でアルドを見たが効果はなさそうだ
「暗黒魔法は…代表的なもので言うと、洗脳したり、遺体を操ったりと、そこの鬼よりも下品な魔法ですね」
そう言ったロワンの表情はとても暗く、きっとロワンにとって暗黒魔法は凄く嫌な物なんだろうなと、安易に察しがついた。
俺、そんな物に適正あるんだ…要らないな。
「どっちも半端なくMP要るからトーヤには使えねぇな!」
あ、やっぱりいるかも暗黒魔法
今すぐこの鬼を洗脳してやりたいな…
さっきから俺のこと馬鹿にしすぎじゃないだろうか??
「何にせよトウヤ、出来るだけ早くレベルを上げる事をお勧めします」
心配だ…と言わんばかりにロワンが俺の両手を握りしめ、流れるように手の中にあった串肉を取ると、優雅な手付きでその肉をアルドに投げつけた。
反射良くその肉を受け取ったアルドが、同意見だ。と肉を頬張りながら言う
俺だって早くレベルは上げたい、上げたいけどもその前に町に行きたい
そして安全を確保して、この2人とお別れして、今日の事は全部忘れるんだ…
「俺…早く町に行きたい。レベルはその後考える」
「そうですか…貴方がそう言うのなら。
では、また質問していいですか?」
「うん???」
所持金185000Gとは?ノギノ商店とは?
と、ロワンが首を傾げた。
やっぱりそうだよね、気になっちゃうよね、そこ!
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