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第15話

「トウヤ、この先を少し行った所に此処より明るく綺麗な洞窟があるので、そこにしようと思うのですが…良いですか?」 話が纏まったようで、ロワンが先程まで居た洞窟を指差しながらそう言った。 洞窟か…正直言ってさっきまでの事を思い出してしまいそうだが、雨風を凌げる場所となるとその選択しか無いのかもしれない… ここより明るいのなら雰囲気もまた違うだろうし、良いかも!良いだろう!大丈夫! 「…うん。安全ならどこでも!」 「洞窟の安全は保証します。…では、片付けて準備をしたら出発しますので、トウヤはもう少し休んでいてくださいね」 焚き火に視線を移したロワンがそう言うので、短くお礼を言い出発までゆっくりと休ませてもらう事にする。 身体のあちこちがまだ痛い ロワンがかけてくれたらしいポーションのおかげか、動けないほどでは無いが…出来れば動きたく無い。 目の前の焚き火がロワンの水魔法によって消され、薄い煙があがる。 魔法ってすごいなあ…レベル上がったら使えるのかな? なんて考えながら燃え滓を眺めていると、黒い煤の中で何かがキラリと光った。 何だろう? しゃがみ込み近くにあった枝で、煤を掻き分けると、赤く光る綺麗な石。宝石みたいだ。 「魔石だな」 赤い石を手に取ると、残った肉を両手に持って頬張るアルドが言った。 「この肉…レッドチキンマトンの魔石だ。いるか?やるぞ」 レッドチキンマトン…あの肉の味も納得の名前 鳥のパサパサと羊の臭み…なるほど。生きてる姿はどんな姿なのだろうか…飛べるのかな? モグモグと、すごいスピードで肉を次々に口へと掘り込みながらアルドがそう言うので、何だかとても綺麗だし、もしかしたら町についた時売れるかもしれないし!と思い、有り難くもらう事にした。 売れると良いなあ… アルドに小さく礼を述べ、手持ち無沙汰なので特に意味もなく煤をつつく。 水で濡れた燃え滓はグッチャリしていて、枝越しだが、何だか不思議な感触だ グリグリと燃え滓を穿っていると、また何かキラリと光るもの 枝で掻き出して見てみると、今度は紫色でまん丸な石 これも魔石かな? 光具合がさっきの魔石と一緒だ。これも売ろう。 「トウヤ、準備はいいですか?」 まだ魔石あるかなー?とグリグリと燃え滓を穿っていたが、声がかかったので、枝を捨てて立ち上がる。 こちらへ、と手招きされロワンのもとへ寄ると、胸元のポケットから何かを取り出した。 「では、トウヤにはこれを。アルド、貴方はこれを」 ロワンが俺に差し出したのは、小さな瓶に入った緑の液体 アルドに渡したのは、俺がグッチャグチャに汚してしまった筈の黒いマント、綺麗になってる… 「ポーションです。飲んでおいてくださいね」 そう言われ、小さな瓶を見つめる。 これがポーション… 飲んだら身体の痛みがもう少しひくかな?ひいてくれると嬉しいんだけど… コルクの様な物を瓶から引き抜き中の液体を口内へ流し込む 柑橘系の香り…に爽やかなミント、少し甘い 不味くなくて良かった…と残りの液体を一気に飲み干した。 「それとこれを」 もう一つ、手渡されたのは靴 紛れもない靴 革製で、紐がついた靴 なんて、気の利く…イケメン王子ありがたや!とロワンを拝み、お礼を言い、有り難く靴を受け取った 履いてみると少しだけ大きかったが、紐をきつく縛れば気にならない。裸足より全然良い!! 残っていた左の革靴はアイテムボックスにでも突っ込んでおこうかな… 「俺からはこれだ。一応、念のためな!」 靴を履き終わった俺の手に、アルドが何かを置く、ずっしりと重い これってまさか… うん、短剣だ。 黒い鞘に納められたとてもシンプルな短い剣 たしかに俺にも使えそうだけど、できれば使いたくないなあ… 「ありがとう…」 よォし、出発だ!!! と機嫌良くアルドが言う でもその前に一つ良いですか 本当に今更なんですけども 聞くタイミングがなかったと言うか 他に聞きたいことがいっぱいあったというか 「2人って知り合いなの?」 「マブダチ!!」 「元同僚です。」 うん。やっぱりお知り合いなんだね。 ロワンがすっごい嫌そうな顔で真っ黒なオーラを出してるから、この話題にはもう触れないでおこう よし、出発だ。

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