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一目惚れ③
この男の事を、もっと知りたいと思った。
だから彼が断りの言葉をすべて口にし終わるより早く、笑顔で退路を絶ってやった。
「別に迷惑じゃないよ、お袋はお客さんが来たら喜ぶと思う。
俺も藍もあまり食べないから、料理の作り甲斐がないっていつもぼやいてるし」
少し長めの前髪の下、戸惑ったように揺れる彼の黒い瞳。
イケメンっていうのは困っていても格好いいモノなんだなと、そんなどうでもいいことに妙に感心させられた。
「じゃあお言葉に甘えて、僕もお邪魔させて貰います」
よっしゃ、押し勝った!
特になにかを期待したワケではなかったけれど、この縁が途切れずにすんだ事が嬉しくて。
......この出逢いが俺達の、あの歪 な関係の始まりになるだなんて、微塵も思ってはいなかったんだ。
***
「へぇ、なら翔真君は藍と、同じ学部なんだ?」
三人での、帰り道。
それとなく探りを入れ、情報収集する姑息な俺。
自分がゲイだとハッキリ自覚したのは、高校生の頃だった。
コイバナだとか、女の子のえっちな動画にまるで興味を持てず、何となく自分はそっち側 の人間なのかなと、中学に上がった時くらいから薄々気付いてはいたけれど。
オープンにしているワケではないが、特にアピールしているワケでもない。
気付かれたならそれでいいし、気付かれないならそれはそれで別に構わない。
ただウチには男の子供は俺しか居ないから、何となく申し訳ない気がして家族には打ち明けられていないというのが現状だ。
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