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プラトニックな関係①
彼との出逢いから、およそ一月 が過ぎた。
この縁が途切れる事がないようこまめに連絡をいれていた事もあり、俺達は今では時々ふたりで会い、共に食事をするような関係になった。
人当たりの良い、穏やかな笑顔。
そして頭の回転のはやさを感じさせる、ウィットに富んだ会話。
年齢にそぐわない、丁寧で綺麗な言葉遣い。
そのため彼が年下で、昨年までは高校生だっただなんて言われなければきっと俺は気付かなかったんじゃないかとすら思う。
なのに時折見せる子供みたいな笑顔は無邪気で、俺よりもずっとでかい図体をしているというのになんだかとても可愛くて。
......俺の彼への好意的な感情は、どんどん大きく膨れ上がっていった。
良く懐いてくれているとは、思う。
でもそれは間違いなく、兄を慕う弟のような感情。
俺の持つ感情 とは、まるで違う。
それでもコイツの側に居たくて俺は、ただの友達みたいな顔をして今日も笑う。
心の中にある感情には、気付かないふりをして。
「翔真、昨日カレー大量に作ったから食べに来ない?
消費しきれないかも」
特にたいした用もないのに、声が聞きたくてつい連絡をしてしまう俺。
そして彼はスマホの向こう、何の疑いもなく笑って答えるんだ。
『いつも、ありがとうございます。
じゃあまた7時くらいに、お邪魔させて貰いますね』
これまで夜のお相手は、タチでちょっと好みの見た目をしていたら、それで良かった。
なのにこんなに不毛過ぎる、プラトニックな関係から抜け出す事が出来ないだなんて。
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