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甘い毒②
体と心を同時に攻められ、自分の内側が彼を求め、締め付けるのを感じた。
それをこの男が、見逃すはずもなく。
......ククッとまた楽しそうに笑い、彼は耳元で囁いた。
「やっぱ翠の体、最高だわ。
久しぶりだし、逝かせまくってやる......な!」
な、の音を発するのと同時に、激しく突かれた。
小さくふるりと震え、彼の鍛え上げられた肉体に反射的にすがり付いた。
「奥、好きだもんな?お前。
締め付け、ヤバ......」
満足そうにニヤリと歪む、彼の口元。
......そう言えばコイツの唇の端のホクロ、色っぽくてスゲェ好きだったんだよな。
今はもうそんな感情全く残ってはいないというのに、惰性だけで続けている体の関係。
だけどやっぱり、相性は最高で。
俺のイイトコロ を狙いすましたみたいにガンガン激しく何度も抉られると、そんな余計な感傷はあっという間に吹き飛ばされた。
......気持ちいい。
身も心も泥々に融かされ、乱されて、それしか分からなくなっていく。
悔しいとか、情けないとか......彼の事が、好きだった過去とか。
そういった諸々が、どうでもよくなっていく。
コイツの気持ちとか、俺の気持ちとか。
......そんなもの、どうだっていいじゃん?
いつもみたいにこうやって俺に熱を与え、隙間を埋めてくれるなら。
そんな風にお互いに、割り切っていたつもりだった。
だから完全に快楽に溺れ切った俺は、彼の与えたささやかだけど途轍もなく意地悪の悪い罰に、気付いてすらいなかった。
そしていつもみたいに何度も求め合い、奪い合って。
......いつの間にか俺はベッドの上、彼の隣で俺は眠りに落ちていた。
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