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体だけの関係④

「翠さんって、こういう事にはあまり興味がないのかなって思っていたんですけれど。  ......随分と、いやらしい体だったんだなぁ」  少し強めに胸の頂を指先で転がされると、恥ずかしいのに甘い吐息が溢れた。 「それは、翔真もだろ?  てっきりお前は、童貞だと思い込んでたわ」  ニヤリと口角を上げて言うと、彼もまたクスリと笑った。  それから唇をキスで塞がれ、彼の手が剥き出しになった俺の下半身に触れてきた。 「一応人並みに、経験はありますよ。  ところで翠さん、ローションとかあります?  少し解しておいた方が、良いと思うので」  料理の手伝いをしてくれている時に、調味料を取ってくれと言うのと同じくらい軽い口調。  こういった行為に不慣れな相手は普段なら面倒だから避けているのだけれど、今日は慣れているらしきコイツに少しだけ苛立った。 「ん......そこの引き出しに、入ってるよ」  棚を指差すと、彼は一度俺から体を離してベッドから起き上がった。  そして引き出しからローションの入ったボトルを取り出すと、からかうみたいに言った。 「うゎ......結構、使ってますね。  和希さんと、した時ですか?  それとも、他の誰か?」  残りが少なくなったボトルをゆらゆらと揺らし、見せ付けるみたいにしながら笑う翔真。  言葉遣いはいつもと同じで丁寧なのに、その表情も声色もいつもよりも冷たく、意地悪で。  ......なのにその事に興奮してしまっている自分はやはりドMなんだろうなと、何処か他人事みたいに思った。 「どうだって、良いだろ。  それより早く、続きやろうぜ」  今度は俺の方が上になり、彼に跨がった状態でボトルを奪うと蓋を開け、自分の手のひらに垂らした。

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