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体だけの関係⑤

 本当はこのローションは、和希としか使った事が無かった。  だってさすがに自分の家によく知らない男を招き入れるほど、俺だって馬鹿じゃない。  そう......ここに連れ込む男はこれまで、和希だけだったのだ。  今でこそ冷静になり、ただのセフレだと割り切った付き合いが出来るようになったけれど、一時期はあの男に心まで奪われていたから俺の家でヤるのが普通になってしまった。  まぁでもここなら金も掛からないし、同僚の男とホテルに入るところを他人に見られる危険性を考えたら、ベストな場所だとも思う。  だけどこのボトルの中身が減っているのに気付いたら、アイツもきっとネチネチと攻め立てるに違いない。  とはいえそれはきっと、あくまでプレイの一環としてだとは思うけれど。 「もしかして、自分で慣らすつもりですか?」  翔真は少し驚いたようにまた瞳を見開き、俺の手を握るようにして手のひらに出した透明の液体を奪うと、そのまま後孔に触れてきた。  彼がどの程度男を相手にするのに慣れているのか分からなかったから、自分でやるつもりだった。  だけど彼が特に抵抗を感じないのであれば、拒否する理由も別段無かったからされるがまま身を任せた。  彼の指先は最初ローションを潤滑剤にして、その周辺を慣らすみたいにゆるゆると這いまわり、それからゆっくり中に侵入してきた。  和希の男らしい指とは異なる、細くしなやかな指先。  翔真に馬乗りになったまま優しく中を抉られ、拡げられると、自然とまたいやらしい喘ぎ声が溢れた。 「僕ね、翠さんの声好きですよ。  年上の男性にこんな事を言うと叱られちゃうかもしれませんが、すっごい可愛い」  にっこりと微笑んでそう言うと、彼は指を一気に奥まで突き入れた。

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