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痕②

 セフレ相手に翔真は、こんな惑わせるような言葉を簡単に口に出来るようなヤツだったのか。  それに呆れるのと同時に、こんなのはベッドの上の睦言に過ぎないと分かっているはずなのに、心音がドクンと跳ねた。  ......ほんとコイツ、サイアクだ。  感情を殺す方法は、和希と付き合う中で完璧に身に付けたはずだった。  なのに翔真は、そんな俺を嘲笑うみたいに弄ぶ。  ......心も、体も。 「またそういう事をするなら、もうお前とはしねぇから」 「了解です。もう、しませんよ。  ......ちょっと、残念ですけれどね」  残念って、何だよ?  セフレに独占欲の証を刻んだり、刻まれたりする事に、何の意味があるって言うのだ。  だって俺らの関係は、肉体だけで。  ......いくら体を繋いだとしても、彼の心は俺には無いのだから。  余計な事はもうそれ以上話したく無かったし、考えたくも無かった。  だから言葉とは裏腹にキスを求め、今度は俺の方から唇を奪った。  中に埋められた彼の指が蠢めき、ゆっくりと拡げられていくのを感じる。  コイツとヤるのは初めてだというのに的確に俺の感じるポイントを探り当て、一度バレてしまった弱点は執拗なまでに弄ばれた。  そして前に触れる事無く、後ろだけで達しそうになったタイミングで指をぬるりと引き抜き、彼は発情した獣みたいな視線を俺に向けてニヤリと笑った。 「もう、大丈夫ですよね?  僕もそろそろ限界なので、挿れても良いですか?」  いつの間にか彼もすべての衣服を脱ぎ捨てていて、既に大きく隆起したモノを当て、限界なんて言いながら余裕な感じでゆるゆると焦らすみたいに入り口に擦り付けてきた。  だけどそんな風にされたら逝く直前まで彼の手で持っていかれていた体は更なる快楽を求め、期待してただ震える事しか出来なかった。  すると彼はフッと小さく笑い、俺の肩を押さえ付けるみたいにして無理矢理腰を落とさせ、貫いた。

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