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当たり前みたいに①

 昼休みにスマホを確認すると、一通のLIMEが届いていた。  それは翔真からの、いつも通り味気も何もない文字だけで綴られた、業務連絡みたいなメッセージ。 『翠さん、こんにちは。  今度の土曜日、特に予定がなければまた、泊まりに行っても良いですか?』  これまでは俺から誘うばかりだったし、彼がウチに泊まったのは前回が初めてだった。  ......これはつまり、彼に体は気に入られたという事だろうか?  翔真が、好きだ。  だからああいう風に(・・・・・・)なった事を、後悔してはいない。  だけどこうやって体の関係を持った途端これまでは全然相手にされていなかったのに、手のひらを返すみたいにされるのは正直複雑なモノがある。  嬉しい反面、本当に体だけを求められているのだと思うと、ちょっと寂しい。  こうなるのなんて、最初から分かっていた筈なのに。  だけど結局逢いたいと思う気持ちの方が勝っていたから、了解とだけ返事を返した。  すると直ぐ様またメッセージが届いたため、てっきり翔真からだと思い画面を確認すると、今度の送り主は彼ではなく和希だった。 『お疲れ、翠!  今から一緒に、ランチ行かない?  お前が好きそうな洋食屋が、近くに出来たらしいぞ』  時々コイツは気紛れに、俺を飯に誘ったりする。  そしてこれはセフレなんていう穢れた関係になる前からの事だから、別に珍しい事でも何でもない。  なんとなく一人で居たくなかったし、断る理由も別段無かったから素直に彼の誘いに乗る事にした。

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