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当たり前みたいに②

*** 「ここの店、ミックスフライ定食がオススメらしいよ。  特に唐揚げが、めっちゃ美味いんだって」  言いながら差し出された、メニューに目をやった。  そして写真を目にして、美味しそうだったから彼の提案に従う事にした。 「あぁ......そうなんだ。  じゃあせっかくだし、それにしてみようかな」  出てきた定食を前に、ふと思った。  さりげなく俺の好物を勧めてくる辺り、本当に色々と|慣れてる《・・・・》んだなと。    こういう事が素直にありがたく思えなくなってしまったのは一体、いつの頃からだっただろう?  和希の事が好きだった時は、自分は特別扱いされているんだと勘違いしていたから、こういった些細な事でもとても嬉しかった。  だけど俺と居ても他の男に声を掛けられたり、目の前で次の約束を交わす姿を目にして、自分は別に特別でも何でも無かったのだと気付いた。  当て付けみたいにわざと知らない男と寝るようになったのも、その頃からだ。  だけど彼は残された痕を見ても、他の男と仲良くする様を見せ付けても、変わらなかった。 『あぁ、先約があったんだ?  翠......楽しい夜を』  笑顔で言われ、俺が密かに傷付いていただなんてきっと、コイツは知らない。  だけど元々セフレとしての付き合いだから、今にして思うと和希には非なんかまるで無いのだけれど。  次第に和希と居ても心を殺す術を身に付け、今では完全に割り切った付き合いが出来るようになった。  今でもこの男に誘われるがままこうやって出掛けたり、寝たりしてしまうのはきっと、ただの惰性だ。  だってそうじゃないと、やりきれない。 「おーい、翠。なんか、考え事?  早く食わないと、昼休み終わっちゃうぞ」  人の気も知らないでクスクスと笑いながら、和希が言った。  だから俺も、笑って答えた。 「ごめん、ちょっとボーッとしてたわ。  わぁ、スゲェ美味そうじゃん!  いただきます」  こんな男の事が、まだほんの少しでも好きだとか。  ......そんなの、冗談じゃない。

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