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体が求めるモノ③

 はぁはぁと呼吸を乱しながら、自らも彼にキスを求め、ねだった。  これからされる事がどれくらい気持ちいいかなんて、嫌ってくらい俺は知っている。  だからもっと彼が欲しくて、ぐちゃぐちゃに乱されたくなった頃、浴室から給湯が終わった事を告げるチャイムが聞こえてきた。  当たり前みたいに脱がされ、浴室に連れていかれて。  ......浴用椅子に俺を座らせると、背後から再びキスで吐息すらも奪われた。  そしてさっきは触れてくれなかったのに、胸の頂に二本の指を添え、少し強めに摘ままれた。 「エロい、顔。  ほら、翠......見てみろよ?」  サディスティックに口元を歪め、鏡に写る俺の姿を指差した。  まだ湯槽に浸かったワケでもないのに顔を真っ赤にして、唇を半開きにさせるその姿は、確かに卑猥で。  なのにそんな自身の姿を見せられて、さらに興奮するのを感じた。 「ここももう、こんなになって......。  そんなに俺に触って貰えるの、期待してた?」  耳元で甘く、でも意地悪く囁かれ、体がびくんと大きく震えた。  そんな俺を鏡越しに冷たい瞳で見つめたまま、もう一度さっきより強く胸の先端を摘ままれ、いやらしい声が溢れた。  返事を待つ事無く、下半身にも手を伸ばされて。  既に大きく隆起した俺の分身を少し強めに握り、上下にゆっくりしごかれた。  焦らすような緩慢な動きがもどかしくて、自然と腰が揺れる。 「喘いでないで、ちゃんと答えろよ。  ......淫乱」  吐き捨てるように言われた言葉にすら、興奮を煽られていく。  彼は手の動きを完全にストップさせると、既に透明な体液を垂れ流し始めたその先端に指を添え、ぐっと押さえた。 「期待......してた......!  和希に触って貰えるの、期待してた......から!」  鏡の中。  ......だらしなく開いた俺の口の端から、唾液が溢れるのが見えた気がした。

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