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体が求めるモノ⑤

 ゆっくり何度も抜き差しされると、甘い吐息が溢れた。  それを見た和希は馬鹿にしたように笑い、意地悪く耳元でまた囁いた。 「何を勝手に、気持ち良くなってんの?  まだちゃんとおねだり、出来てないだろ?」  突っ込まれる時よりも抜かれる時の方が感じてしまうのも、もうコイツには知られている。  そのためわざとゆっくり引き抜かれる度に、理性が融かされていくような気がした。 「翠、ちゃんと言えよ。  じゃないとずっと、このままだぞ?」  悔しいし情けないのに、やっぱりこの男には抗う事が出来ない。  中でグッと指を曲げられ、前立腺の辺りを抉られた。 「ここ......指じゃなくもっと太いので乱暴に擦られないと、どうせお前は満足出来ない癖に」  そのまま指を引き抜き、強引に顔だけ後ろを向かせると、和希はじっと俺の顔を見つめた。  捕えた獲物を嬲る肉食獣みたいな、冷酷な瞳。  それを見て、ゴクリと喉が鳴るのを感じた。 「和希......淫乱な俺の事を、めちゃくちゃに犯して下さい」  屈辱的な言葉を口にしながら、ますます昂る体。   「仰せのままに」  クスリと笑い、今度は二本の指を乱暴に突っ込まれた。  風呂場に常備しているローションをいつの間にか使ってくれてはいるみたいだけれど、圧迫感が凄まじい。  なのにそれすらも、気持ち良くて。  ......まるで発情期の雌猫みたいに、与えられる刺激に夢中で溺れた。  そして軽く解されてから、そのまま後孔に既に熱くかたくなった彼の分身をあてがわれ、俺の肩をしっかり押さえたまま一気に奥まで貫かれた。 「連続で抱かれてるからか、そこまで拡げなくてもあっさり入ったな。  ......本当に、やらしいヤツ」  言いながら彼は、昨日翔真に重ねて付けられたキスマークの上に舌を這わせた。   「ここにわざと分かるように、少しずらして痕をつけてくるとか......いい性格してるよな、その男もホント」

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