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心が求めるモノ②

 ......やっぱりコイツとは、根本的に考え方が違うんだろうな。  そのペンを彼から奪い取り、それを手にレジ前の列に並ぶと、彼は少し驚いた様子で言った。 「え......まさか翠さん、それ買うつもり!?」 「使い途が、有るか無いかじゃねぇよ。  こういうのはなぁ......ワクワクするかどうか、なんだよ」  フフンと笑って答えると、翔真は信じられない、どう考えても無駄遣いじゃないですかと呆れていた。  だけど自分で働いた金で買うんだから好きにさせろと言うと、ちょっと苦笑しながらも引き下がった。 ***    いつもは俺の家で食事をするのだが、今日はせっかくだし時間も勿体ないので外で食べる事にした。  あまりファーストフードを口にすることはないのだけれど、翔真も一緒だし、俺が奢るとなるときっと彼はあまり高いモノだと気にすると思ったから、チェーン展開する大手ハンバーガーショップで食べる事にした。  ご馳走するといったところ、翔真は誘ったのは彼の方だからと、こんな軽食ですら自分の分くらい自分で払うと言い張った。  本当に、真面目な男だ。  俺としてはこういう時くらい、甘えて欲しいのに。  そしてその後も話しながらフラフラとモール内を回ったため、家に戻ったのは夕刻を少し過ぎた頃だった。  夕飯は彼の希望により、野郎二人でのたこ焼きパーティー。  思いの外不器用らしい彼は、自分から提案してきたにも関わらず綺麗な球体にする事が出来ず、悪戦苦闘していた。 「下手くそか!曲がりなりにもお前、関西人の癖に」  ぐちゃぐちゃになってしまったたこ焼きモドキを前に、クククと笑いながら聞いた。  すると彼は拗ねた様子で唇を尖らせて、少し赤い顔で答えた。 「出来ると、思ったんですよ。  ......って言うか、翠さん器用過ぎ」

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