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心が求めるモノ③
食事と後片付けを終えると、さっきまでふたりの間に流れていた年の離れた兄弟みたいな雰囲気は消え失せ、少し乱暴にソファーの上に押し倒され、唇を奪われた。
そして入浴前だと言うのに俺が着ていたシャツのボタンをひとつ、ふたつとまるで見せ付けるみたいにゆっくりと外し、彼は呆れたように笑った。
「あれ?......キスマーク、また増えてるし。
あの人も、大概大人げないな」
あの人という、まるで知り合いみたいな言い方が引っ掛かり、聞いた。
「え?あの人、って......。
お前、和希の事を知って......んん!」
最後まで言葉にする事が出来なかったのは、そう。
......少し乱暴に胸の先端を、指で弾かれたせいだ。
「翠さん、お喋りの時間はもうおしまい。
ここからはあなたは、ただあんあん可愛い声で喘いでいてくれたら良いですから」
彼の唇が、意地悪く歪む。
指で悪戯をされながら更に反対の胸の頂を口に含まれて舌を這わされると、あっさり思考力は奪われ、彼の言う通り俺の口からは喘ぎ声だけが溢れ出した。
「本当に、敏感ですね。
このまま胸だけでも、逝けちゃうんじゃないですか?」
楽しそうに笑いながら、そのまま胸ばかりを攻められた。
確かにそこも俺の性感帯のひとつではあるけれど、足りない。
こんな生ぬるい快感だけじゃなく、もっと明確な刺激が欲しい。
「無理、翔真。
......ちゃんと、触れよ」
今度は俺の方から腕を伸ばし、キスをねだった。
すると彼はまたクスリと妖艶な笑みを浮かべ、俺が履いていたジーンズのベルトに手を伸ばした。
「ちゃんと、ねぇ......。
翠さん、いやらしくて可愛い」
耳元で囁きながらベルトを外され、そのままファスナーを下ろされた。
嫌でも期待に、胸が高鳴る。
でもそこで彼は、さらりと告げた。
「あぁ、そうだ。とりあえず、シャワー浴びましょうか?
前回みたいにがっついてるなんて、翠さんに思われたくないですし」
すっかり臨戦態勢になってしまっていた俺の下半身に一瞬だけ指先で触れ、耳たぶを軽く食んだ。
甘い刺激を与えられ、体が小さく震える。
なのに彼はそれ以上俺に触れる事なく、また耳元で囁いた。
「......お楽しみは、その後で」
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