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彼の求めるモノ①

 二人一緒にシャワーを浴びて、その後はまたしても獣みたいに奪い合い、貪り合った。  そして行為が終わった後、彼に背後から抱き締められたままベッドに座り煙草を吸いながら、ずっと疑問に感じていた事を聞いてみた。 「なぁ、翔真。  お前確か、バイだったよな?  ......世間体とか考えたら、男の俺なんかとこんな不毛な事してるより、普通に女の子と付き合った方が良いんじゃないの?」  すると彼はクスリと笑い、思わぬ言葉を口にした。 「んー......でも僕、翠さんの事好きですし。  それに別にうちは普通の家庭なので、特に跡継ぎが必要とかも無いですしね」  好き、という発言に戸惑ったもののすぐに冷静さを取り戻せたのはきっと、さっきあんな風にまたしても玩具みたいに扱われ、性欲処理の道具として使われたのを体が覚えていたからだろう。  倦怠感と、まだ中に彼が居るみたいな感覚が僅かに残っていたせいで、自分は彼にとって恋人などではなく、ただ都合の良いセフレに過ぎないのだと思い出す事が出来た。  素直に好きなんていう言葉を受け入れられるほど、俺は純粋でもなければ子供でもない。 「あとね、翠さん。  僕ね......ただのバイではなく、バイリバなんですよね。  だからタチだけじゃなく、ネコだった事もあるので」  軽い口調で言われたけれど、二十歳(はたち)にも満たない年齢のこの男の思わぬ告白に、唖然とした。  だけど彼はあっけらかんとした感じで、笑いながら続けた。 「僕がまだ、高校生だった頃の話なんですけれど。  僕って年齢よりも、落ち着いて見られる事が多いんですが。  年齢を隠して出会い系サイトで知り合った男性と、一年ほど付き合っていたんです」

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