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彼の求めるモノ②

 彼の話を、要約すると。  ......相手がタチだった事もあり、翔真はその男にはネコ扱いされていたらしい。  しかし高校の制服を着て友達と歩いているところを見られたことで年齢を誤魔化していたのがばれてしまい、ソイツとの関係はあっさり終わりを迎えたのだそうだ。    それ以降翔真は特定の恋人は作らず、慣れている女の子や、俺みたいに後腐れのない野郎と時々遊んだりしているだけらしい。 「まぁでも、たぶんですけれど。  ......僕は男性の方が、好きなんだと思います」  そう言うとにっこりと穏やかに微笑み、彼は俺にまたキスをした。  なんで突然こんな話を始めたのかと思えば、そういう事か。  だけど彼がリバだった事への驚きよりも、ゲイ寄りのバイセクシャルなのだという言葉に少しだけホッとした。  ......本当に、少しだけ。 「じゃあお前は、今でも男に抱かれたいとか思ったりするワケ?」  勿論抱かれたいと言われたところで、バリネコの俺にはどうしてやる事も出来ないけれど。  すると翔真は一瞬驚いた様子で俺を見つめ、それからまた静かに微笑み答えた。 「んー......、抱かれたいからネコをやっていたと言うよりは、あの人だから抱かれてたって感じなので」  それに安心すべきなのに、逆にまた落ち着かなくなった。  だってその男は、それだけコイツにとって特別で。  ......そしてソイツ以外の人間はきっと翔真にとって、誰だって同じくらいどうでも良い存在なのだと言われた気がしたから。  なのに俺を抱き締める翔真の温もりを、失いたくなくて。  俺は何事も無かったみたいに笑って煙草を灰皿に押し付けて火を消して、今度は自分から彼の体をベッドの上に組み敷いた。

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