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特別な存在②

 和希はいつだって、俺の望むモノをくれる。......心以外は、すべて。  もう彼に愛されたいだなんて思っていないけれど、もし愛されていたら、こんな風に体を繋ぎながら寂しい気持ちになったりしなかっただろうか?  そこまで考えて、馬鹿らしくなった。  だって考えたところでこんなの、何の意味もない。  ......この男が俺を愛する事なんて絶対に無いし、俺がそれを再び求める事だってもう二度と無いのだから。  ふと脳裏に浮かんだのは、セックスの最中に見せる翔真の、俺を見つめているはずなのに俺ではない誰かを見ているような、あの何処か虚ろな瞳。    俺ってば、本当に成長しねぇな。  ......好きになっても無駄な相手にばかり、惹かれてしまうだなんて。 「......翠?どうかした?」  少し心配そうに俺を見下ろす、和希。  静かに首を横に振り、彼の背中に腕を回した。    ベルトに指を伸ばし、外すと、そのまま彼の履いていたスラックスのファスナーを下ろした。  そして下半身を完全に露出させると、普段はあまり自発的にはしないのだけれど彼の股間に顔を埋め、そのまま舌を這わせた。  一瞬戸惑うような素振りを見せたけれど、彼は俺のしたいようにさせることにしてくれたみたいだ。  ちょっと乱暴に俺の頭を押さえ付けながら、意地悪く笑った。 「ハハ、今日はスゴい積極的じゃん。  翠。そのまま自分で一番気持ちいいように、弄りながら続けろよ」  やっぱり和希は、優しい。  こうやって俺が求める事を理解した上で辱しめ、わざと乱暴に道具みたいに扱う事で、嫌な事をすべて忘れさせてくれるのだから。

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