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いまさら③

 ずっと、好きだった?......和希が、俺のことを?  言われている言葉は分かるのに、その意味が理解出来なかった。  だってコイツは俺と二人で居ても、誰かに誘われたら目の前で平気で約束を交わし、逆に俺が当て付けみたいに他の誰かと関係を持っても、笑ってスルーしていた癖に。  そんな想いが、またしても顔に出てしまったのだろう。  いつの間にかこちらを向いていた和希がちょっと困ったように微笑み、煙草を灰皿に押し付けて火を消すと、ワシワシと俺の頭を撫でながら告げた。 「まぁそう簡単には、信じて貰えないよな。  ......でも俺、本気だから」  いつになく真剣な表情で、言われた。  でもやっぱりこの時になっても、嬉しいとも何とも思えなくて。  ......ただ居心地の悪さだけを感じ、視線を逸らした。 「いまさらそんな事言われても、やっぱり無理だよ。  俺はお前の事なんか、好......」  好きじゃないと最後まで言い切る前に、手首を掴んで強く引かれ、抱き締められた。  そして小さな、自信なさげな震える声で彼は言った。 「まだ返事は、しなくて良いよ。  散々試すような真似をして、本当にごめん。  ......勝手だとは思うけど、今すぐ結論を出そうとしないで」  彼の発言に驚き、弾かれたみたいに顔を上げた。 「試すような、真似って......。  もしかして俺がお前の事、ずっと好きだったって気付いてたワケ?」     すると和希は俺の肩に額を乗せ、呟くみたいにボソボソと語った。 「......お前がどれくらい俺の事を好きか、試してた。  ......結局やり過ぎたせいで、愛想尽かされちゃったけどな」 「ハッ......何だよ、それ?  お前ホント、最低だな」  俺を抱く彼の腕が、ビクッと震えた。  本当に自分勝手で、酷い男だと思う。  なのに突き離す事も、逆に許して受け入れる事も出来ないまま戸惑う俺を見下ろし、彼は力無く笑った。

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