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偶然か、必然か②

 時刻はもう22時を回っていたけれど、和希がどうしても餃子とラーメンが食いたいと言うから、俺の家の近所の中華料理店で食事を済ませた。 「なぁ、翠。  お前んち、今日も寄って良い?」  以前のコイツなら、こんな聞き方はしなかった。  いつだって確定事項として告げられていたはずなのに、俺の意思を尊重するような言い方......こんなの、ずるい。 「別に、良いけど。  でもホント疲れてるし、あんま激しいのは嫌だからな」  ヤる事前提で答えている自分に気付き、ちょっと恥ずかしくなった。  だけど彼はクスクスと笑いながら、いつもみたいに了解とだけ答えた。  クールで、恋愛感情的なモノは持ち合わせていないと思っていたのに。  いつもみたいに馬鹿話をしながらも、最近の和希の発する空気は甘く、まだ告白の返事もしていないのにまるで恋人に接するみたいに優しい。  とはいえきっとベッドの上では今夜も、これまで通り玩具みたいに扱われるのだとは思うけれど。  本当に俺ってば、毒されてんな。  ......コイツ、やっぱりたち悪ぃ。  ふたりで並んでウチまでの道を歩き、マンション備え付けのエレベーターを降りると部屋の前には、壁にもたれて座る人影。  ダウンジャケットのフードを目深に被っているけれど、そのシルエットを見てすぐに分かった。  そこに居たのは、そう。  忙しいからと今日会うのを断った、俺が現在片想い中の男......翔真だった。  それに驚き、慌てて彼に駆け寄った。  すると翔真はフードを上げてちょっと困り顔で笑うと、コンビニエンスストアの白い袋を俺に向かい差し出した。

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