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俺が望むコト①

 あんな場所でするような話でも無さそうだったし、夜になると外の空気はかなり冷えて寒かったから、とりあえず二人を室内へと招き入れた。 「翔真......どういうつもり?  全部分かった上で、翠に近付いたのかよ?」  いつになく苛立ったような、和希の声。  こんなコイツはこれまで見た事が無かったから、こわいというよりはただ何だか不思議な気がした。  すると翔真はまたクスリと笑って、呆れたように言った。 「まさか!本当に、偶然ですよ。  翠さんの妹さんと僕が、たまたま同じ大学の、同じサークルだったんです」  ね?とでも言いたげに、翔真は微笑んだまま俺の瞳をじっと見つめた。  だからまだ戸惑いながらも、小さく頷き答えた。 「あぁ......俺も、偶然だと思う。  それに和希と俺の関係なんか、翔真が最初から知ってたとは思えないし」  確かにあの日、俺は実家に帰るだなんて、藍にすら教えてはいなかった。  それに俺の事を、初めからこの男が知っていたとは思いがたい。  ......しかし和希と再会するために利用されたかもしれないという想いは、拭えなかった。  すると和希は大きなため息をひとつ吐き、ガシガシと頭を掻いた。  それからソファーに腰を下ろす翔真に向かって真っ直ぐに歩いていき、彼の手をとった。 「ごめん、翠。今日はもう、帰るわ。  ......コイツとちょっと、話さないとだから」  先日聞いた話から、推察するに。  ......翔真が和希をだますような形だったとはいえ、二人は付き合っていたという事になる。  だけど嘘がばれ、それを許せなかった和希から別れを告げた。

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