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俺が望むコト⑤

 最初に別れた時とは違い、翔真は現在18歳。  選挙権もあるし、結婚だってしようと思えば出来る。  世間的に見ればもう、大人と認められる年齢だ。  だから今のふたりの間には、何の障害も無い。   昨夜だって泊まって、よろしくヤってたんだろうし。     俺に惹かれていたと言っても、本命が不在の間のピンチヒッターみたいなモノだろう。  和希だってまだコイツに気持ちがあるみたいだから、俺が身を引けばきっとすべて上手くいくに違いない。  結局俺が気持ちを隠し、体で繋ぎ止めようとしたせいで諸々、ややこしくなってしまったという事か。  ......和希とも、翔真とも。  まだ祝福をしてやれるほどは割り切れていないが、それでも大好きな二人を、自分の勝手で不幸にしたいワケではない。  ......だから。 「で、お前らどうすんの?  ヨリを戻すつもりなら、別に俺に気を遣わなくていいよ」   平静を装い、告げた。   すると和希と翔真は顔を見合わせ、それからプッと同時に吹き出した。 「......なんだよ?」  それに苛立ち、二人の事をじとりと睨んだ。 「絶対そう言うやろうなって、話してたんですよ。  あまりにも、予想通り過ぎて......あぁ、可笑(おか)し!」  こんな風に爆笑する翔真は、初めて見る。 「俺も翔真も、お前の事が好きだって言ってんのに。  ......ホント強情で、優しいヤツだな」  クククと笑いながら和希は大きな手のひらで、いつもみたいに俺の頭をワシワシと撫でた。   

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