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俺達が選んだ結末②
ダイニングテーブルに並んだお揃いの、三人分の食器。
それに盛り付けられた朝食は、いつもより少しだけ豪勢だ。
そしてそのメニューはグラタンや厚切りベーコンなど、翔真の好物ばかり。
「今日の朝食、ちょっと豪華じゃない?
なんか、あったっけ?」
和希が、不思議そうに聞いた。
それには意味があっての事だったから、その理由を笑って答えた。
「今日さ、翔真の誕生日なんだって。
ちゃんとしたご馳走は夜になるけど、とりあえず前祝い的な感じ?」
すると和希も笑顔で、翔真の事を抱き締めて言った。
「そうなんだ?おめでとう、翔真」
「和希さん、ありがと」
幸せそうに微笑み、翔真も彼に抱き付き返した。
「でもお前、前もって言っとけよ。
なんかプレゼント、用意しないとだ
な」
和希は笑顔で彼の頭をワシワシとなで、軽く額に口付けた。
だから俺もそのハグに混じり、お祝いの言葉を口にしようとしたのだけれど。
......そこで和希が|ある事《・・・》に気付き、大声で叫んだ。
「......って、ちょっと待て。
お前大学の一年で、今日が誕生日って事は。
......俺と付き合ってた時、まさかまだ15だったのかよ!?」
その言葉に、ハッとさせられた。
確かに翔真が高1の時に、付き合っていたのだとしたら......。
改めて気付かされた、翔真の凶悪性。
それにちょっと、ゾッとした。
「だとしたらその一年前まで、中学生だったって事か。
......マジで和希、犯罪者の一歩手前だったんだな」
俺の表情も自然と、苦虫を噛み潰したようなモノへと変わっていたに違いない。
だけど翔真はクスクスと笑い、しれっと答えた。
「アハハ、もう終わった事やん!
今はもう僕も19歳やし、なーんも問題ないやろ?」
......本当に、この男だけは。
マジで、信用ならん!
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