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【SS】Immoral Love~side和希~②

 それが単なる遊びの内は、笑って許せた。  なのに本気で好きな相手が出来たと聞き、途端に怖くなった。  だって翠は、俺の。  ......俺だけの、モノなのに。  この時になり、ようやく気付いた。  ......もう誰の事も好きになんてなるものかと思っていたはずなのに、俺は翠の事を、本気で愛してしまっていたのだと。 「じゃあ本当に、偶然だったとして。  ......俺と翠の関係に気付いたのは、いつ?」  ほんの少しの感情の変化も見落とす事が無いよう、じっと翔真の瞳を覗き込み聞いた。  すると彼が当たり前みたいに俺の頬に手を伸ばそうとしたから、慌てて顔をそらした。  翔真はクスリと笑い、それを気にするでもなく答えた。 「和希さんの名前が最初に翠さんの口から出た時は、ホンマに単なる偶然の一致やと思ったんよ。  だって『カズキ』っていう名前だけやったら色んな漢字があるし、他のカズキさんの可能性の方が高いやん?  だけど翠さんの働く会社の名前を聞いた時、もしかしたらって思った。  ......和希さんが就活してた時に、面接まで漕ぎ着けたぁって喜んでた会社と同じやったから」  懐かしそうに微笑むその仕草を前に、また少し困惑させられた。  俺達は喧嘩別れをしたにも等しいはずなのに、まるで汚い思い出なんて何も無かったような顔をするコイツを見て、戸惑いがどんどん大きくなっていく。 「......じゃあ、確信したのは?」  それでもこの男にそんな事を気付かれたくは無かったから、わざと冷たい声色で言った。  翔真はやれやれとでも言いたげに、フッと小さく笑った。

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