89 / 90

【SS】Immoral Love~side和希~⑦

 だけど翔真はプッと吹き出し、予想だにしなかった言葉を口にした。 「そんな真剣に、悩まんでや。  ホンマ和希さんは、クソ真面目やなぁ。  そんな結末、誰も幸せになれへんやん。  好きな人に不幸になって欲しいって思うほど、僕腐ってへんよ。  ......だからもういっそ、三人で付き合わへん?」  三人で、付き合うだって?  ......やっぱりコイツ、ヤバ過ぎる。  あり得ない提案だった。  だけど翠と翔真、二人を手に入れる事が出来るなら。  ......二人がまた以前みたいに、俺に向かい笑い掛け、好きだと言ってくれるなら。  最低な考えだと、自分でも思う。  なのにそれはコイツの言うように、ベストな答えのような気がした。  心が揺らいだその隙を見逃す事無く、翔真は笑って追い討ちを掛けてきた。 「モラルに反するとか、そんなん関係無くない?  別に誰かに迷惑を掛けるワケでも、無いんやし。  だって僕も翠さんも、和希さんが好きで。  .......翠さんもきっと僕と和希さん、二人に愛されるんを望んでるんやから」 「悪魔め。分かったよ、翔真。  ......でもいつかお前、絶対地獄に堕ちるぞ?」  素直に降参するのは悔しかったから、視線を逸らしたまま言った。  すると翔真は、また楽しそうに笑った。 「アハハ、そうかもね。  その時は和希さんも、一緒に地獄に付き合ってな?」  開き直ってしまえば、もう悩む事も無かった。   「地獄でも何処でも、付き合ってやるよ。  だけど、翔真。......嘘と抜け駆けは、禁止だからな」  翔真はプッとまた吹き出して俺の後頭部に手をやり、微笑んで答えた。 「......それは約束、しかねるかも」  身勝手な事ばかり言う生意気な唇をキスで塞ぎ、言葉を奪った。 【...fin】

ともだちにシェアしよう!