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番。 「花盗人」より。

 自分の腕の中で眠る彼はなんと美しいのだろう。  口元は少し開いて微笑を浮かべていて全身は脱力し、ファリスに身を預けていた。それは彼がファリスを安心出来る存在だと思っている証しだろう。  マライカと時間を過ごせば過ごしただけ、ファリスの中にある彼の存在が大きくなっていく……。ファリス自身さえ知らなかった保護欲が、マライカといると一気に膨れ上がる。  マライカへの思いが募ればまた抱きたくなる。  いくら流産の可能性はないとはいえ、医師からは無理をさせないよう言い聞かされていた。――にも関わらず、ファリスは彼を求めて止まない。つい先ほどまでマライカの中に精を放ち、互いに心ゆくまで抱き合ったのに、ファリスの肉棒はまた熱を持ち、勃ち上がっている。  マライカは大切だ。そして最愛の妻の体内に宿った新しい命もまた、マライカ同様自分の魂の一部だと思っている。  しかし抱きたくてたまらない。  しかも厄介なのは、生まれたこの熱はマライカにしか解き放つことができないということだ。 「どうしろとうんだ……」  ファリスは寝息をたてて眠っているマライカをそっと抱き寄せ、独りごちた。 《番・完》

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