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第7話
7.
そのまま、あいつは小卓を回り込んでやって来ると、俺の前に正座をして座り込んだ。
「おい、橋本何してるんだよ?!」
「僕……後藤くんのことが……」
そう言って俺の膝にしがみつく。
「……橋本!?」
「後藤くんが好きなんだ……!」
「そんなところに座って、膝が痛いだろう? ほら、立てってば」
「ごめん」
「何で謝るんだよ?」
「だって、僕なんかに好きって言われて、嬉しくもなんともないよね。迷惑だよね?」
「いや、迷惑だなんて思わないよ」
「僕なんて、目立たなくてパッとしないヤツだよ? しかも男だよ?」
「橋本、おまえって結構可愛いと思うよ」
俺はそう言うと、橋本を立たせてやる。板敷きの床になんて、正座していたら膝が痛くなってしまう。
「……後藤くん、からかってるんだろ?」
「からかってなんかないって」
「だって……」
「もうそんなに自分を卑下するなよ」
俺も手にしていた缶ビールを小卓に載せると、その場に立ち上がった。そして橋本を抱き締めてやる。
「おまえさ、自分じゃ全然気付いてないかもしれないけど、俺のこと好きオーラが出まくってたぞ?」
「うそ……」
「お陰で、俺もおまえのこと意識しちゃって、どうにかなりそうだった……男を可愛いとか色っぽいとか思ったこと今まで一度もなかったのに」
「後藤くん……」
「キスしていい?」
「いいの?」
「俺が聞いてるんだけど?」
「ごめん……キスして」
くすっと笑った橋本は瞼をゆっくりと閉じる。俺はそっと唇を重ねた。橋本はたまらないように俺にしがみついてくる。
――やばい……キスなんて久々しちゃったから……
両手を橋本の腰に回して、キスしてるうちに、段々下半身がやばいことになってきた。彼女もしばらくいなくて、こういうのにご無沙汰だったせいで、体が素直に反応してしまったらしい。
すると、橋本の手がするり、と浴衣の裾を割って下半身に触れてきた。
「後藤くん、感じちゃった?」
――おまえな、何なんだよ、その小悪魔みたいな顔は!
俺が答えずに黙って橋本を見つめていると、彼はしゃがみ込んで下着の上から舐めてきた。
――やばい、やばい、やばい! 橋本、何してるんだよ!
「おっ、おまえっ、そんなことしなくていいってば!」
「僕がしたいんだ」
見上げた橋本はめちゃくちゃ色っぽい目付きでそう言った。
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