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ネコと猫_2

大学を卒業した俺はIT企業へ就職した。 椅子に座ってPC叩いてりゃいいだろうって軽い考えで入ったが現実はそんな甘いわけがなく……正直毎日が疲労困憊状態。 何度も辞めようと悩んだが、何だかんだで入社して七年目の今年、新人教育を任されてしまったわけだ。 それはそれは気乗りのしない俺は丁寧にお断りの意を示したが、上司の返答はNO。 「えー、俺に面倒見ろなんて無理ですって。そういうの絶対向いてないし」 「君ね、来年三十路だよ。そんなんでどうするの。今の今までそういうのから逃げてきたんだから、今年は逃がさないよ」 ニコッと笑うその顔は何だか寒気が走る恐さを秘めていた。 「明日から新人くんが来るから、よろしく頼むよ」 「………………」 「よろしく!頼むからね!」 「………はーい」 何で俺が面倒なんか……。 自由気まま、自分の世界に没頭してプログラムを組む、それがこの仕事の利点なのに。人の世話なんて論外だ。 あー、むしゃくしゃする。 今夜はバーにでも顔出すか。 最近何だかんだで行けてないし……。 と、その日は定時で切り上げて、バーへと赴いたが特段気になる奴はいなかった。 何人かに声を掛けられたものの全く気が乗らない。 「……帰るか」 グラスの酒を一気に煽って、帰路に着く。 ちょっと前まで誘われたら断るなんてしなかったのにな。 誰にでも付いていって、抱いて、喘がせて、満たされる。 絶倫なんて言われたこともあった。 「………歳かな」 来年三十路……俺の性欲もそろそろ尽きてきたのだろうか。 それならそれで不便はないか。 明日の新人、頼むから普通のまともな奴でありますように。 そんな事を思いながらの一人ぼっちの帰り道だった。

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