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ネコと猫_3
翌日は待ちに待ってない新人との初対面。
出社して最初に視界に入ったのは、長身の男の後ろ姿。
俺自身身長があるもんだから、自分よりデカい奴を見るのは珍しい。
あれが新人くんか……と、自分のデスクに鞄を置いてその背中に近付く。
「はよ」
肩に手を置きつつ声を掛ければ、ソイツは自然と振り向く。
目が合って数秒、固まってしまったのはあまりにも顔の作りが綺麗だったからだ。
ああ、道理で周りの女どもが花を飛ばしてるわけだ……。
白い肌、フワフワとした髪、色素の薄い目、今時を思わせるその容姿は注目の的間違いなしだろう。
「……あの?」
「あ、ああ、悪い。ちょっとぼーっとしちまった。今年の新入社員だろ?」
「はい。本日付でこちらに配属になりました蓮沼 祥元 です」
「新人教育を担当になった水原 洸 だ。よろしくな」
差し出した手を蓮沼は取らず、ジーっと俺の顔を見る。
「蓮沼?」
「ああ、すみません。どこかでお見掛けしたような気がしたので。よろしくお願いします、水原先輩」
愛想笑いだと分かっていても、コイツが微笑めば周りの花が増えたような気がする。
コイツ、就職先間違ったんじゃないか?
俳優とかモデルとか言われた方がしっくりくる。
「じゃあとりあえず蓮沼のデスクに案内すっから。それから先輩たちに挨拶回るぞ」
「はい」
やる気はないが形上はやらねばなるまいと腹を括り、後輩を先導していく。
大企業と言う訳ではないにしろ、挨拶周りを終える頃には昼を回っていた。
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