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感度が良いのも問題ですね_11
商店街のお祭りと聞いて小さな規模だとばかり思っていたら、期待は良いように外れた。
なかなかの数の出店には、たくさんの人が賑わっていた。
「へぇ、結構大きなお祭りなんですね」
これには蓮沼も感心の声をあげた。
「これならたくさん楽しめそうですね。あ、先輩イカ焼きありましたよ。行きましょう」
人混みの中へ足を踏み入れようとした蓮沼は一度足を止めて、こちらを振り返った。
「はぐれたら大変ですし、手繋いでおきますか?」
「結構だ!はぐれたって別に構わない」
むしろ好都合だ。そのまま帰ってやる。
「つれないなぁ」
「大体こんなデカい男二人が見失うなんてそうそうない」
「でもやはりデートなので手ぐらいは繋ぎたくないですか?」
「デートじゃねぇよ!この色ボケ野郎がっ!」
「好きな人と二人で過ごす、立派なデートです。仕方ない、手を繋ぐのは諦めましょう。ただしちゃんとついてきてくださいね。もし、はぐれたら……またお仕置きですよ」
個人的にはどちらでもいいんですが、なんて不穏な呟きを残して蓮沼の足はイカ焼きの屋台へと歩き始めた。
コイツの示す“お仕置き”という言葉がロクな意味を含まないことをこの短い期間でよーく分かった。
お仕置き、それだけは何としても避けなければならない。
そう考えている間にもどんどんと先を行く背を慌てて追った。
その中でふと周りの視線が一点に集中していることに気付く。
それが何に向けられているかなんて考えなくても分かる。
これだけ人が居ても目を引く容姿なのだ、この後輩は。
社内でも女性社員の視線を独り占めしているが、こうやって外に出ると尚更顕著に現れる。
女に興味がない身としても、ここまでくれば羨ましいと思う。
中には男でも頬を染めて見つめている奴だっている。
改めて思うが何故アイツは芸能界という道を選ばずにあんな会社に就職したんだか……。
こんな間違った道を選ばなきゃ俺だってこんなことに巻き込まれずに済んだというのに。
「はい、どうぞ」
ずいっと差し出されたイカ焼き。
いつの間にか俺の分まで購入したらしく、一つを頬張りながら、もう一つを俺へと差し出してきた。
「……………」
「……どうしました?」
もぐもぐとイカ焼きを食べる姿。
何故……。
何故なんだ………… 。
そんな姿も絵になるのは……!?
「……イケメンはせこい」
「はぁ……?」
心底分からないと言う顔の蓮沼からイカ焼きを奪い取り、思い切り齧りつく。
「喉、詰まらせないでくださいね」
「わーってるよ!」
苦笑する蓮沼は再び人混みの中を歩き出した。
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