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感度が良いのも問題ですね_14
それから三十分ほど掛けて、ようやく手に入れた猫のストラップが今俺の手の中にある。
前を歩く後輩はもちろん上機嫌だ。
せっかく取ったんだから自分で持ってりゃいいのにな。
“先輩の方が似合いますから”なんて訳分からない理由を述べて俺の手に押し付けてきたのだ。
改めて猫のストラップを見る。
思ったよりふてぶてしい顔をしているが、それがまた可愛いと思えてしまう。
このふてぶてしさ、なんか蓮沼に似てんな。
そう思ったら見比べてやりたくなって、声を掛けようと視線を前に移した。
「……あれ?」
目の前に声を掛けようとしたはずの背中がない。
見知らぬ人達が行き交うばかりだ。
あ、やべ……見失った……。
見失うはずがないと思っていたが、その姿は見当たらない。
これは……帰るチャンスか?と一瞬頭を掠めたが次の瞬間には“はぐれたらお仕置きですよ”と嫌な言葉が脳内再生される。
まずい……早いとこ見つけねーと……。
一応辺りを見渡してみたが、らしき姿はない。
あんなに目立つくせに肝心な時に見つからないってのは嫌がらせか?
そうだ、電話して……って俺アイツの番号消したんだった……。
試しに蓮沼からの着信を確認したが、何も知らせはない。
前を歩いていたから、俺がはぐれたことに気付いていないのかもしんねーな。
「あー、くそ……自力で探すしかないってか……」
まあ、方向的にはこっちで合ってんだろ……多分。
とりあえず流れに沿って歩くか。立ち止まってても仕方ないしな。
思わず出た溜息と同時に流れに溶け込むよう歩みを進めた。
人だらけの視界に酔ってしまいそうな感覚に襲われつつも、見落とさないようにと視線を張り巡らせながら。
そんな最中、ある違和感が俺を襲った。
これだけ人がいるんだから偶然、たまたまだろうと思ったがそれにしては違和感が長い。
それにそれは確実に意思を持った動き方をしている。
これは………。
間違いなく、尻を触られている、よな……?
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