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感度が良いのも問題ですね_16

あ、やべ……キスされ――。 映像は随分とゆっくり流れるのに、体の反応は鈍く、避けられない。 唇が触れ合おうとしたまさにその瞬間、ゴンッと重たい音が響き、同時に痴漢野郎の顔が視界から消える。 代わりに目に飛び込んできたのは、呆れた顔の蓮沼だった。 「全く…………何してるんですか」 一体何が起きたのか……。 痴漢野郎が頭を抱え、踞っているのを見る限り、危機一発の所で蓮沼が助けに入ってくれたようだ。 普段は憎たらしい面も今は救世主の天使に見える。 「いったたた……もう!何も殴ることないじゃないか!」 痴漢野郎は若干涙目になりつつも蓮沼へと詰め寄る。 対して蓮沼は深いため息をついた。 これは……一体……?コイツら知り合いなのか……? 「一体何してたんですか?こんな所で」 「ちょっとからかってただけだよ。最近祥元冷たいからさぁ」 名前……祥元って蓮沼の下の名前だよな、確か。 そんな親しい仲なのか……? 完全に置いてきぼりを食らっている俺は疑問符ばかりが浮かんで首を捻る。 「そうではなくて、どうしてここにいるのかと――」 「――な、なあ……お前ら知り合いなのか……?」 「知り合いというか……」 渋る後輩を余所目に痴漢野郎が再び俺の方へと近付いてくる。 警戒を顕にすると痴漢野郎はクスクス笑って右手を差し出してきた。 「初めまして、祥元の兄、祥葉(しょうよう)です」 …………兄? 「……え?兄弟!?しかも兄!?」 後輩は頭を抱えつつ、先程よりも重たい溜め息を漏らした。 「兄さん、先輩をからかうのは止めてください。一体なぜここにいるんですか?」

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