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感度が良いのも問題ですね_20

差し出された焼きそばは新しいものだ。 後輩の手に残ったものを見れば半分ほど減ってしまっている。 「そっち寄越せよ。俺が食うから」 「いいですよ。先輩にそんなことさせられません」 「いいって。それ俺がやったんだし、お前若いんだからそんなんじゃ足りないだろ?それに……」 「それに?」 「……焼きそば、好きなんだろ?だから、こっち、やる」 目の先に突き付けた焼きそばをパチパチと見つめた蓮沼は驚いたように少し固まったあと、再び俺を見て、嬉しそうに微笑んだ。 綺麗にふわりと笑うから、俺は堪らず見惚れてしまった。 「……そんな顔で、笑ってんじゃねーよ」 「え……今、どんな顔してましたか?」 「……バカみてーに嬉しそうな顔」 「……そうですか」 と素っ気ない返事のあと蓮沼は顔を背けた。 珍しいなと覗き込もうとするとパッと手で押し退けられる。 「おい、どうしたんだよ?」 「……ちょっと、今、見ないでください」 「はぁ?何だよ、体調でも悪いのか?」 蓮沼の手をすり抜けてその顔を覗き込めば、その頬は赤く染まっていた。 「ぇ……」 「……だから今は見ないでくださいって」 て、照れてんのか……?コイツが……? 「……何だ、そんな可愛い顔も出来るんだな」 「……可愛いなんて言われても嬉しくありません」 「…お前が言うなよ」 「先輩は良いんです。事実ですから」 「はぁ!?ふざけんなよ、俺も男なんだぞ!しかもお前より年上のな!」 「知ってますよ!でも可愛く見えてしまうんだから仕方ないでしょう!」 お互いに声を張り上げた。 睨み合って、それから……何だか笑えてきた。 「はぁ……やめだ、やめ。お前は本当可愛くない後輩だな」 「何言ってるんですか。こんなに好いているのに」 「よく言うぜ。……いい加減食おう。ほら、こっち食えって」 後輩は少し思案したように俺の手元を見た後、見覚えのある意地の悪い笑みを見せた。 こいつがこの顔をするときは大抵良いことは考えていない。 「それじゃあお言葉に甘えて……あーん」 「…………は?」 「食べさせてください。ほら、早く」 「なっ、馬鹿か!自分で食えっ!」 「食べさせてほしいんです。ね?先輩忘れてないですよね?」 爽やかな笑みを下げたまま蓮沼は俺の耳元へと口を寄せた。 「お仕置き、二つもあるんですよ?ここで一つぐらい消費しておかないと後が怖いですよ?」

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