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感度が良いのも問題ですね_23

珍しくもないどちらかと言えばボロいアパートの一室が俺の家だ。 「へぇ……」 なんて言いながら部屋を見回す後輩。 「あんまりジロジロ見るなよ」 「すみません、興味深くて。先輩の匂いがいっぱいしますね」 変態発言をしながら深く息を吸い込んだ蓮沼の頭を小突いた。 「痛いです。何するんですか」 「お前が気持ち悪いことするからだろーが!」 「好きな人の香りに包まれるって幸せじゃないですか」 「意味分からん。いいから大人しく座れ」 言われた通りベッドの傍らに腰を下ろした蓮沼に一応茶を出す。 これでも立派な社会人だからな。 「ありがとうございます」 「それ飲んだらさっさと帰れって言いたい」 「もう言ってますよ、それ。残念ながら帰ることは出来ませんがね」 クスクスと笑いながら出したお茶を口にして実に愉快そうだ。 「さてと」 と一口飲んだお茶をテーブルへと置いて蓮沼は俺を見る。 反比例するように俺は自分の分のお茶を手にして口元へと運んだ。 「それじゃあ先輩、――フェラしてください」 「――ブッ…ゴホッ……ゴホッ……おま、なに、いきなり」 思わず飲んでいたお茶を噴いた。そりゃあもう盛大に。 「先輩、汚いですよ」 「ど、どうでもいいんだよ!そんな事は!それより、今何て言った?」 「ですから――」 「――あーっ!ストップ!やっぱいい!聞きたくない!」 そうだ、今のは幻聴だ。そうに違いない。 「あー、えーっと……菓子でも食うか?」 「さっきお祭りでお腹いっぱい食べましたよ」 逃げるように立ち上がろうとした俺の手を蓮沼は透かさず掴む。 「ねぇ先輩、聞こえていたんでしょう?その強気な口でフェラ、してください」 「ふ、ふざけんなっ!そんな事するわけ――」 「――これは、お仕置きです。拒否権なんてありませんよ」 悪魔が囁きを落とす。 「分かっていますよね?」 「〜〜っ変態野郎!」 「重々承知しています」 妖艶な笑みを浮かべた悪魔は俺の手を引いて、ベッドに腰掛けた。 足の間に座るように押さえ込まれ、続きをするよう促される。 「先輩、タチだったんですよね?」 だったって……何で過去形なんだよ! 「もし先輩のテクで僕をイかせる事が出来たら、今晩は僕がネコをやってもいいですよ」 思わぬ提案に下げていた頭を上げる。 「それ、本当だな?」 「ええ。ただし、もしイかせられなかったら……今晩、先輩の初めてをいただきます。この前みたく止めてあげません。時間は十分間。どうでしょう?タチ専だった先輩なら、僕一人イかせるぐらい余裕ですよね?」 まるで挑発するような台詞、けれど俺の頭にはそんな考えなどなくて……。 「はっ……上等じゃねぇか!」 ただ俺を見下ろす目を逆に見下ろしてやろうなんて、そんな思考が頭を埋め尽くしていた。

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