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感度が良いのも問題ですね_31
指差した棚から薬を探り当て、それを手に蓮沼はベッドの傍らへ膝をついた。
「手、出して」
ゆっくりと差し出した手に、優しい手付きで薬が塗り込まれていく。
「……っ………」
「滲みますか?」
「ちょっと……」
「すぐ終わりますから少し我慢してください」
擦れた皮膚に触れる薬は滲みて痛いが、労るような指の動きに口を閉ざした。
「……出来ましたよ」
「ぁ、ありがと……」
「いいえ……傷付けるつもりはなかったんですが、結果的に傷を付けてしまいましたね。すみません」
こっちは怒るつもりでいたと言うのに、そんな事を先に言われたら怒るものも怒れない。
「もう一つ謝らなければならないことが。この後所用が出来てしまいまして、名残惜しくはありますが帰らなくてはなりません」
「ぇ……あ、そう……」
「すみません、せっかく先輩の身体が僕のことを受け入れてくれる準備が整っていたと言うのに……」
あまりにもしおらしく吐かれた台詞にそのまま流してしまいそうになったが、その意味を理解して蓮沼の頭を小突いた。
「痛いなぁ」
「お前が変なこと言うからだっ!」
「事実なのに……。さて」
はだけた浴衣を着直して床の荷物を取ると、意地悪い笑みを浮かべて蓮沼は振り向いた。
「それじゃあ僕は帰りますが、それ、処理するのに僕をオカズにしてくださっていいですからね」
それと指すのは勃ったままの愚息だ。
「なっ……誰が……!」
「ふふ、それじゃあまた会社で。お疲れ様でした」
クスクスと肩で笑いながら、足早に部屋から立ち去っていく。
悔し紛れと投げつけた枕は、閉じかけていたドアのスピードを上げただけで、虚しくも床へと落ちていった。
「くそっ……変態め……」
誰がお前なんかオカズにするかっての!
俺はなぁ、可愛い顔した奴を抱く方が興奮するんだよ!ばーか!ばーか!
届かない悪態を付くだけ付いて、ベッドへと倒れ込む。
悲しいぐらい元気な愚息は熱を吐き出さないと静まってくれないらしい。
「何で俺がこんな……」
枯れたと思っていた性欲は何だったんだ……。
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