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感度が良いのも問題ですね_32

仕方ないと自分の昂りに手を伸ばす。 “僕のことオカズにしてくださっていいですからね” 意地悪く笑った顔が脳裏に浮かぶ。 誰がお前なんか……。 “でも、好きでしょう?” 好きじゃない!お前なんか絶対……! 上下に扱けばくちゅくちゅと水音が響いて、手の滑りを良くしていく。 “ほら、こんなに濡れてきた” 「ふっ…ん………るさい!」 ここには居ないはずの蓮沼の声が厭らしく言葉を残す。 くっそ………なんで……アイツの顔ばっか……。 ここは萎えるべきところなのに、それどころか俺の愚息は痛いぐらいに張り詰めて、情けないぐらいに蜜を溢した。 「んっ………ッ……」 扱く手が止められず、意思とは反して身体は貪欲にも快感を得ようとする。 「ぅ…あ………なん、で……?」 気持ちいい、気持ちいいはずなのに達するにはもう一歩足りない。 達しきれない快感は苦痛なだけだ。 「くっ……なんで………イき、たい……のに……っ」 見下ろした愚息は赤黒く濡れ滴っている。 こんなになってるのに……。 ふと視界に自分の胸の尖りが映った。 小さいけれどしっかりと勃ちあがったそれは、あの変態が弄ったせいか以前よりも赤く膨らんだ気がする。 「…………っ…………」 だめだ、と頭の中で警鐘が鳴った。 分かってる、分かってるけど……。 そんな思いとは裏腹に空いていた左手がゆっくりと尖りに向かう。 だめだ……こんな………。 辿り着いた指先がきゅっとそれを摘まんだ。 「あ……っ!」 まるで電流が駆け抜けたような気持ち良さに腰が揺れた。 一気に来る射精感に手が止まらなくなる。 「……アッ……くっ………んんっ!」 乱暴とも言える程激しく上下に扱く右手と、小さな尖りをこれでもかと強く弾く左手。 やば……気持ちいい……。 考えるより先に気持ちが先走っていく。 「……ァッ………イ、く………ッ………」 誰かに向けての言葉じゃない。 勝手に漏れ出ていく声は自分のものとは思えないほど甘く響いた。 押し寄せる波に腰を突き出し、下腹部に力が入ると愚息から白濁とした精液が吐き出される。 ドクドクと数回に分けての吐精は、やたらと量が多いように感じた。 「……思春期のガキかよ」 自身の手に付いた精液を見て、一人心地にそんなことを呟いた。 手に付いた熱が冷えていくと頭も段々と冷静になり、怒り呆れ虚しさ、どれでもあってどれでもない何とも言い難い感情が胸に渦巻いた。 煮え切らない感情から逃れるように浴室へ移動して、熱い湯を頭から浴びる。 流れる湯に吐き出した精液が流れていく。 射精した。 溜まった熱を吐き出した。 それなのに何処か物足りない。 「……何で」 疼いてしまうのは後ろの窄まりで、頭を占めるのは憎らしい後輩。 「……ふざけんなよ、馬鹿」 思い出すのは前立腺を刺激する指の質量。 分からない。知らない。 この熱がどうしたら沈んでくれるのか。 「……どうしてくれんだよ、これ」 俺は知りたくなんて、ない……。 だってそうだろう? もし知ってしまったら、きっともう……あの後輩の手に落ちていってしまうから。 「……ぜってー抱かれてなんてやらねぇ」 擦れた手首を掴んで決意を新たにする。 アイツは多分きっと俺がゲイだってことを会社の人間に言う気はない。 それならこんな関係だって続ける必要なんてないんだ。 いい加減アイツの遊びに付き合うのは止めよう。 こんなの不毛すぎる。 これ以上、何かが変わる前に……今ならまだ戻れるはずだ。

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