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釣った魚に餌はやらない_13

さて、なんてわざとらしく声を上げて再び顔が近付いてくる。 「ちょ、おい!待てって!」 「静かにしてください。ラブホと違って防音じゃないんですから」 言われた通りまだ陽も上がらない真夜中に騒ぎ立てるのは迷惑以外の何でもない。 「部長から助けてあげたんです。少しぐらいご褒美貰ってもいいでしょ?」 疑問系の割りには問答無用で塞がれる唇。 文句を言うために開きかけていた口は簡単に舌の侵入を許した。 「んっ……んはっ……」 無駄だと気付いていながら押し付けられている腕に力を込めてみる。 その反応を楽しむように手首を掴む指先が肌を撫でた。 ベッドに押し付けられながら手首を指先がくるくると撫で、口の中の舌が連動するように同じ動きをする。 「ふっ………ぐ………ん………」 くちゅくちゅと濡れた音と軋むベッドの音だけが部屋に響く。 熱い舌先が上顎を掬ってくると飲み込めない唾液が口の端から溢れた。 うわ……やっぱコイツ、キス巧い……。 「もっと舌絡めて。そんなに受け身でいいんですか?」 一度離された唇は挑発的に笑った。 「そんなんじゃ食われますよ、僕に」 厭らしく覗いた歯が俺の唇に噛みつく。 「あ、ぅん……っ……はっ………」 再度重なった唇は誘うように開いていた。 くそ……馬鹿にしやがって………。 相手の思う壺だと分かっていながら、その安い挑発に乗ってしまうのは組み敷かれる悔しさからだ。 自ら舌を挿し入れて唾液を絡ませると、それに応えるように蓮沼の舌が合わさる。 待っていたと言わんばかりの動きに羞恥で身体が熱くなっていく。 「ぁ……っ……はっ………んぁっ!?」 ビクッと身体が跳ねたのは舌を甘噛みされた刺激でだ。 もちろんクスリと笑う声も聴こえる。 少しずつ息が上がり始めた俺とは裏腹に、後輩呼吸を乱さない。 体力……いや歳の差か……? 余裕見せやがって……本当、むかつく……。

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