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波乱万丈なんて望んでない_13

さっきのキスって……。 “僕の舌を受け入れようとしてくれる。” 「だから勘違いだって言ってんだろ」 「照れない、照れない」 どうせ不毛な言い合いだと口を閉ざす。 吐き出した息と同時に肩の力も抜いた。 「……キスだけじゃなく」 肩に頭を預けられたまま、蓮沼の瞳が見上げるように向けられる。 「その口も素直になってくれたら文句ないんですけど」 「……馬鹿言うな。俺はいつでも素直だ」 「洸さんみたいな人をツンデレと言うんでしょうね」 「おい、いつどこで誰がデレた?」 蔑むような目を向けても返ってくるのは楽しそうな笑い声だ。 「そうですね、キスの後なんかは蕩けた顔をして貴重なデレだと思いますよ。なのでお口もそのぐらい素直になってはどうでしょう?」 「湯船に沈めるぞ」 怖いなぁ、なんて口にして頭を沈めようとした俺の手を絡め取っていく。 「洸さんはどうしたら僕の気持ちを素直に受け取ってくれるんでしょうね?」 「…………」 「こんなにも貴方と繋がりたいと思っているのに」 「うるさい、俺の気持ちも考えろってんだ……」 そうだ、俺にだってプライドがある。 そう簡単に年下なんぞに抱かれて堪るかよ。 「俺にもプライドってもんがあるんだよ」 「……邪魔するものがプライドなら、僕が貴方に抱かれれば繋がることが出来ると言うことですか?」 「……え…………いや、それは……」 「ふっ、冗談ですよ。僕だって貴方を抱きたいんですから」 取られた手の甲に熱い唇が寄せられる。 「……ねえ、洸さん」 「なっ、なんだよ……お前さっきヤらないって言ったろ……」 「ええ、犯しはしませんよ。でも折角の旅行なので思い出は欲しいですよね」 ああ、凄く嫌な予感がする……。 「フェラさせてください」 「………………は?」 「ネコでもタチでもフェラはするでしょう?これならプライドなんて問題になりませんよね?」 ほらな、やっぱりだ。 嫌な予感ほど当たるもんなんだよ、世の中。

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