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恋の仕方_2
コイツ本当に職種間違ったんじゃないのか?
モデル……いやホストの方が向いてそうだ。
「すみません。折角のお誘いですが……って先輩、何先に帰ろうとしてるんですか?」
面倒事に巻き込まれるのはごめんだと、その場から去ろうとした俺の背中を蓮沼は慌てて追い掛けてくる。
「…………どうせ帰るだけなんだし相手してやればいいだろ」
後方からは案の定ブーイングと痛い視線が飛んでくる。何だって俺がこんな肩身の狭い思いしなきゃならねーんだよ。
「僕にはまだ先輩を送り届けるって言う大事な任務がありますから」
「女じゃねーんだからいらねーよ」
「僕がそうしたいんですよ。先輩の意見は聞いてません」
「…………そうかよ」
「そうですよ。大体僕が女性に興味ない事、知っているでしょう?誘いに乗ったところで僕にメリットなんてありませんよ」
まあ、その気持ちは……分かる。
「お前って女は全然だめなのか?」
「元々はバイですよ。でも少々いざこざに巻き込まれてしまって……それ以来女性を対象にしなくなりました」
「いざこざ?」
「聞きたいですか?」
言葉にはするものの蓮沼の目は恐ろしく冷たく、俺はゆっくりと首を横に振った。
これだけモテりゃ苦労も色々あるよな。そこだけは同情するわ、マジで。
「先輩は?」
「あ?」
「女性は全然だめなんですか?」
「あー…………まあ、そうだな。つーか考えたこともねーよ。そう言うの自覚してから目に映るのは男ばっかだったからな」
見てたAVもゲイものばっかだったしな。
「ずっとタチだったんですか?」
「当たり前だろ。こんだけガタイいいんだぞ」
「体格は問題じゃありませんよ。抱かれたい、と思ったことはないんですか?」
「ないね」
「一度も?」
「ない」
「本当に?」
「しつけーよ」
抱かれたい?俺が……?
そんなこと思うわけ……。
いや嘘だ。本当は一度だけ思ったことがある。
一度だけ、たった一度だけ。
俺は…………。
「――先輩?大丈夫ですか?」
「………何でもねーよ。お前が変なこと言うからムシャクシャしただけだ。あー、くそ……久々に漁りに行きてーな」
「僕が行かせると思ってます?何の為に家まで送ると思ってるんですか」
「……お前家まで送ってく気だったのかよ」
「やっぱり欲求不満なんですね。それなら僕がたっぷり相手になりますから安心してください」
「なっ、違っ、そうじゃねーよ!」
「――さあ、行きましょう」
強引で生意気で、だけど時々恥ずかしいぐらいの優しさを見せるコイツに俺は今日も振り回される。
まるであの頃のように。
あの頃と、同じように。
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