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第18話

 引っ越し先に着き、大きい荷物だけ運び入れてもらい、頑張っていただいた業者の方に渡すようにと親から託けされていたチップを渡す。  そのままダンボールを開けて荷解きなんていう殊勝な真似はせずに、すぐに着替えた。  パーカーとジーンズと眼鏡。髪もワックスでわざとくしゃくしゃにして無造作を装った。  変装というほどの変装じゃない。それでも、光希のイメージからは程遠く、会話でもしない限り、気づかれないんじゃないかと思う。  E地区には、いくつかの暗黙のルールがあるらしい。  知り合いがいても、話しかけずに見て見ぬふりをする(だって、知り合いに「あの人こういう大人の玩具使ってるのか」って言われたら嫌だし)というものも、中には当然存在している。  それでもわざわざ変装していくのは、光希の見栄だ。前世の自分には存在しなかった、「生徒会長の王子様」というイメージを守りたかった。そのイメージのまま、大学生活も順風満帆であってほしかった。  なのに、まさか一発で見破られるなんて思うはずないじゃないか。

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