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第38話
素材が木でもレンガでもない。
全面鏡張りにも見えるが、ただの鏡張りの部屋にモニターが必要なはずがない。中に入って、その考えは確信に変わった。
「マジックミラーだ!」
中からは外が見えるが、外からは何も見えない。あるいはその逆。
「なんだ。知ってたのか」
「もちろん!」
前世でオカズとしてかなりお世話になったAVも、マジックミラーで作られた部屋を舞台にしていた。
中から外が見える場合は、マジックミラーと言いながら、実はただのガラスで、全部見られているのではないかというスリルが、逆の場合は、曝け出しているあられもない姿が誰かに見られているかもしれないという羞恥と背徳感を、プレイとして楽しめる。
「これが新しい事業だよ。ここを、野外プレイをしたい奴と慎ましくて恥ずかしがり屋のカップルに貸し出すってわけ。それで、今回は使ってみた感想を聞きたいんだと。あと、こういう道具があればよかったとかいう改善点だな。もちろん、謝礼はそれなりに出る」
やるか? と、透は試すような視線で訊いてくる。
「……やる」
「さすがだな」
数秒ほど考えて出した光希の結論に、彼は笑って頷いた。楽しそうとは少し違う。面白そうだと思っているのかもしれない。
肉食獣が、狩るに相応しい獲物を見つけた時のような、舐めるような視線を感じた。
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