39 / 101
第39話
もっと見て欲しい。……違う。この部屋を二人で使うということは、絶対に、もっと見てもらえる。見られると恥ずかしい場所の隅々まで。
考えただけで、心臓が破裂しそうなくらい脈打っていた。きっと、今日彼が与えてくれる快感も、ひとりでは得られないくらい「ぶっ飛べる」ものなのだろう。
「もしかして……これ、ただのマジックミラーじゃない……よね?」
外から見た時は、ただ風景が反射して中が何も見えなかった。しかし、中から見ても、壁はただの鏡だった。それではプレイはある意味盛り上がるかもしれないが、この場所に――E地区らしいパーティー会場に設置する意味がない。
「よく分かってるな」
透はいつの間にか、手元に持っていた小さな機械のスイッチを入れた。何か音がするわけでもなく、部屋にも変化があったわけでもない。
「特に変わってないけど……っ」
いきなり後ろから抱きしめられたと思ったら、シャツの裾を引き抜かれ、背中に手を突っ込まれた。
「冷たっ」
「まあ、まだちょっと寒い時期だし」
しばらく撫でられたと思ったら、彼の指が背筋をつぅっとなぞっていく。
「ちょっ、くすぐったい……っ」
「なんだ、こっちは未開発か」
「逆にどうやって開発するんだよ……」
ひとりで身体を弄っていても、さすがに背中までには手が回らないのは当然だろう。
「じゃあこっちで」
「ひぁっ」
指が下がってきたと思ったら、ズボンの上から後ろを揉まれた。この前、二人で行った「遊び」は、いまだ記憶に新しく、思わず期待に声を上げてしまう。
その時、壁が変わった。一瞬、外の景色が見えたのだと思う。
「そういう風にできてるんだよ、ここ。スイッチを入れれば、とある条件を満たすと、鏡張りからガラス張りに変わって、中が丸見えになる」
「とある条件って……」
「喘ぎ声」
やっぱり。
ともだちにシェアしよう!