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第39話

 もっと見て欲しい。……違う。この部屋を二人で使うということは、絶対に、もっと見てもらえる。見られると恥ずかしい場所の隅々まで。  考えただけで、心臓が破裂しそうなくらい脈打っていた。きっと、今日彼が与えてくれる快感も、ひとりでは得られないくらい「ぶっ飛べる」ものなのだろう。 「もしかして……これ、ただのマジックミラーじゃない……よね?」  外から見た時は、ただ風景が反射して中が何も見えなかった。しかし、中から見ても、壁はただの鏡だった。それではプレイはある意味盛り上がるかもしれないが、この場所に――E地区らしいパーティー会場に設置する意味がない。 「よく分かってるな」  透はいつの間にか、手元に持っていた小さな機械のスイッチを入れた。何か音がするわけでもなく、部屋にも変化があったわけでもない。 「特に変わってないけど……っ」  いきなり後ろから抱きしめられたと思ったら、シャツの裾を引き抜かれ、背中に手を突っ込まれた。 「冷たっ」 「まあ、まだちょっと寒い時期だし」  しばらく撫でられたと思ったら、彼の指が背筋をつぅっとなぞっていく。 「ちょっ、くすぐったい……っ」 「なんだ、こっちは未開発か」 「逆にどうやって開発するんだよ……」  ひとりで身体を弄っていても、さすがに背中までには手が回らないのは当然だろう。 「じゃあこっちで」 「ひぁっ」  指が下がってきたと思ったら、ズボンの上から後ろを揉まれた。この前、二人で行った「遊び」は、いまだ記憶に新しく、思わず期待に声を上げてしまう。  その時、壁が変わった。一瞬、外の景色が見えたのだと思う。 「そういう風にできてるんだよ、ここ。スイッチを入れれば、とある条件を満たすと、鏡張りからガラス張りに変わって、中が丸見えになる」 「とある条件って……」 「喘ぎ声」  やっぱり。

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