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第41話

 服を全部脱がされた後も、後ろから抱きすくめられている。  先ほどとは違い、互いに座ってはいるけれど、それが余計、背面座位とかいう体位を思い出させるわけで。 「前の時は急だったから、あんまりレクチャーにならなかったんだよな」  ひとりではできないこと。ふたりでしかできないことの。  耳元でそう囁かれて、身体が震える。力が抜けてずるずると寝転びそうになると、腰を抱えてもとに戻された。 「やっ……」  力が抜けた勢いで、脚を大きく開かされそうになって、思わず力を込めて閉じる。それから、声を上げれば壁の性質が変わってしまうから、慌てて口を手で塞いだ  鏡に映る自分も焦っているということは、まだ鏡のままということだ。安心したのも束の間、鏡は鏡ですべて見えてしまうということに気づく。  部屋の中に――自分の後ろにいて、なぜか腰のあたりを撫でまくっている彼には、すべて見えてしまう。 「今さら恥ずかしがるとか……初心だな」 「う、うるさい……」  やり取りが小声になると、耳元で囁かれているような気さえする。実際に囁かれていると気づいたのは、耳に息を吹きかけられてからだ。

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