「……っ、何を……」 「リラックスさせようと思って」 　隙を突こうとして、の間違いじゃないだろうか。けれど、肌をすべっていく手は優しい。ゆっくりと表面をなぞっていくのは、少しくすぐったく感じた。 「……ぁ」 　マッサージのような事務的な手つきじゃないと気づいたのは、手が胸の辺りに来た時だった。揉むのと触るのの中間。もっとも感じる場所には触れないようにしながら、肌の感触を味わっているようだった。 「ちょ、その触り方……」 「ん？　なに？」 　むっつりっぽい。そう言いたいのに言えなかったのは、首筋にキスが振ってきたからだ。 「っ……」 　全身が敏感になっているような気がする。キスの瞬間、首筋には彼の髪も触れて、やけにくすぐったかった。もどかしい。もっと触ってほしい。身体の中にはっきりと性感が渦巻いているのが分かる。もっと強く触って。弾いたり、吸ったり。快感を感じる触り方をしてほしい。 「ん、ぁ……っ」 　そんな心の中を読んだかのように、乳首に指が振れた。軽く引っ掻くように指先が動いていく。漏れそうになる声は、唇を噛んで堪えた。 「声、出してもいいと思うけど」 「や、やだ……っ」 　だって、出したら外の人にも見られてしまう。 「そう？　見てほしいのかと思った」 　彼の指は下腹部を通り、太ももの方に降りていく。 「しっかりリラックスできてんじゃん」 「違……っ」 　鏡には、既に勃ちあがった性器が映っていた。それだけじゃない。早く触ってほしいと言わんばかりに、脚は開き、腰は揺れていた。