「じゃあ、俺も触ったことがないとこ、触っていい？」 「あ……っ」 　指は後孔にまで滑っていくことはなく、その直前、浅いところをくすぐるように触れられる。 「どう？」 「わ、わかんな……い……」 「本で読んだだけなんだけどさ、意外と神経が密集してるらしいよ、ここ」 「ん、ん……っ」 　くすぐったい、というのも少し違う。のぼせるように頭がぼうっとする。「ぶっ飛ぶ」のとは少し違う。ふわふわとして落ち着かないのに、ずっと触れていてほしいと思う自分がいる。 「も、いい、からっ……」 「ん？」 「はやく、ほしい……」 「でも、もうちょっと準備した方がいいんじゃない？」 　それから、よりゆっくりと後孔の浅いところを節ばった指が行き来する。 　本当はもう知っているくせに。家を出る前に準備はしてきた。そして今までの愛撫で、もう前も後ろもとろとろと蜜が零れているようなものだった。 「はやく、挿れて……あ、ぁっ」 　最後まで言い切る前に、腰を掴まれ、突き上げられた。その動きと、自重で前よりもスムーズに、しかも挿れられたことのない奥まで挿入されている。 「あっ、だめ、深いぃ……っ」 「こら、逃げんなって」 　つい腰を浮かせようとすると、腕を回され逃げ場を失ってしまった。 「は、ぁ……っ……」 　挿れられ、擦られているのはもう、粘膜だけじゃないだろう。身体の奥の奥。普通なら明け渡すはずのないところまで、彼が入ってきている。瞼の奥で何かが弾けるような衝撃があり、ただ掠れた、荒い吐息交じりの声しか出ない。 「あ、ん……どうして……そんな、ゆっくり……っ」 　このまま、貪るように思いっきり突き上げてほしいのに。ただゆっくりと腰を揺さぶられるだけだ。 「せっかくなら、じっくり鑑賞したいじゃん。繋がってるとこ」