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第57話
「ぷ、ぷれい……?」
先ほどまであれだけ威勢の良かった後輩が、硬直していた。それは、たぶん、光希が言いそうにない言葉をぺらぺらと喋ったからだ。興奮するとかプレイとかセクハラとか。
「ご、合意の上……?」
「最初からそう言ってるじゃん」
「いや、言ってはなかったと思うけど……」
「ふ、ふたりは、いつから、付き合ってるんですか……?」
「……ん?」
透とは、付き合っていると言えるのだろうか。恋人がするようなことは既に二回ほどしているが、好きだとか惚れただとか、ましてや付き合ってほしいなんて言葉を口にしたことは、互いになかった。
となると、やはりアレになるのだろうか。セフレ? その爛れた関係にも思える語感は、どうしてもしっくりこない。
「今の関係になったのは、卒業した後だよ」
光希が考え込んでいる間に、透が先回りして、しかも質問をいいようにはぐらかして答えていた。
「本当なんですか……先輩……」
「え? うん? えっと……」
自分と透の関係性は、やや曖昧だ。だから結論を出す前に話を振られ、まごついてしまった。すると鬼の首でも取ったかのように嘘っぱちだと言われる。
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