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第64話

 下着まで全部脱ぎ終わると、体勢を変えたいと彼が言い出した。寝転がる透をまたぐように言われる。シーツは被ったままだけど。 「それじゃあ、好きに動いて」 「なっ……」  つまり、上に乗って好きなように腰を振れということか。 「そのために準備しといてくれたんだろ?」 「あっ、やぁ……」  後孔から零れた蜜を、彼の指がそっと救い上げる。午後に会うというから、ちゃんと準備していただけなのに、やらしいことを期待していたと思われてないだろうか。 「でも……そんなの、したことない……っ」 「何事も挑戦ってことで。初プレイ、好きだろ?」 「それは……好きだけど」 「認めるのかよ」  吐息混じりに彼が笑う。 「だからって、挿れ方、わかんないしっ……」 「じゃあ挿れるところまで俺が誘導するから」 「あ、あぁっ……」  後孔に性器をあてがわれ、そのまま腰をおろすように指示される。熱を持った欲望が、後ろをこじ開けながら、ゆっくりと挿り、進んでいく感覚。満たされていくのと同時に、もっと奥まで欲しがる自分がいる。 「先っぽは入ったよな。ははっ……いい眺め……」  もう色んなところを隅々まで見られているというのに、下から見上げられているというだけで、どうしてこうも落ち着かないのだろう。自分から動かなければ進まないのにまごついてしまう。 「も……ダメ……っ、どうすればいいか、わかんないっ……動いて……」  思いっきり突き上げて、ぐちゃぐちゃにしてほしい。堂々としたマグロ宣言でもあるが、本当にこの先が分からないのだから許してほしい。後ろが熱くて、じんじんして、なのにイイところまで届かない。

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