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第100話
せめてもの慈悲なのだろう。部屋を薄暗くしてくれた。
別世界の自分とは違う身体だと分かっているからか、愛撫はゆっくりとしたものだった。耳も首筋も、くすぐったいままだ。ひとりで開発できないところはしていないし、未開発の場所ですぐに感じられるほど、都合のいい身体じゃない。
一方で、向き合う形にされ、性器に触れられると、分かりやすく甘い吐息が漏れる。そこにくすぐったい愛撫が加われば、より快感が高まっていく。
「……っ」
変な声が出ないよう、唇を噛んで耐えた。理由はそれだけじゃない。肌がシーツに擦れる音も、彼の指の感触も、全て味わいたい。声で気を散らせたくなかった。
「俺としては、声を聞かせてほしいんだけど」
「ん、あぁっ……」
胸の先を摘まんだり引っ掻いたりされると、思わず声が漏れた。
でも、彼がしてくれるのはそこまでだ。後ろにはまだ触ってもらえていない。腰をもぞつかせても気づいてくれない。……違う。気づいているのに、わざと焦らしているんだろう。
「もう……はやく……ぅ」
「うん、どうすればいい?」
囁く声は、聞かされた方が溶けてしまいそうなくらい甘かった。
「いれてほしい……あぁん……っ」
じわじわと、浸食されるように、彼の欲望が奥へと入り込んでくる。ゆっくりとしか来ないのは、身体を気遣ってのことだろう。
でも、足りないと思った。もっと奥まで来てほしい。もっと密着したい。
無意識のうちに、光希は脚を彼の腰に回していた。
「ちょっ……」
「このまま、突いてほし……んっ、あぁっ」
遠慮しない腰の動きで最奥を擦られると、痺れるような快感が全身を駆け抜ける。
手でシーツを握りしめていると、そっと外された。
「手はこっちね」
「んっ、うんっ……」
背中に手を回すと、触れ合う肌の面積が広がる。より深く繋がりながら、何度も激しいキスをする。玩具でも夢の中でも味わえない、あたたかな快感へと身を委ねた。
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