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日曜日、昼前。
中目黒駅から三軒茶屋 方面へ、地図アプリを頼りに歩いていた。
きつい陽射しにじっとりと汗をかきつつ、早く会いたいという気持ちが募って、自然と早足になる。
藤堂くんは、目印のコンビニまで迎えにきてくれるという。
一緒にアイスを選ぼう。
他にも、食べものは何が好きかとか、聞きたいな。
浮かれながら歩いていると、コンビニの駐車場のフェンスにもたれかかった藤堂くんが、大きく手を振っていた。
「ふみ!」
大声で呼ばれて、慌てる。
せっかく隠れてきたのに、そんな風に名前を呼ばれたら意味がないよ……!
そう思うのに、藤堂くんもおれとおんなじに待ち遠しく思っていてくれたのかもという考えも浮かんで、うれしかった。
ダッシュで駆け寄ると、藤堂くんは、溶けそうな笑顔で俺の目をじっと見た。
「来てくれてありがとう」
「ううん、藤堂くんこそ……」
「和真」
「う……。えっと、かずま」
慣れない。
気恥ずかしくて、ちょっとうつむく。
電話で、下の名前で呼び合おうと決めた。
向こうは最初から『ふう』と呼んでくれていたから、その流れですぐに『ふみ』になったけれど、おれはなんだか、尻込みしていた。
こんな、学校で人気者の有名人を、独り占めするみたいな。
いや、付き合ってるのだから、そうには違いないのだけど。
「ねえ、もっかい呼んで?」
「ん、やっぱり恥ずかしい。名前呼べなくなっちゃう」
「そう……? じゃあいままでどおりでもいいや。いっぱい名前呼んで欲しいし」
藤堂くんは、おれの手に触れかけてパッと離した。
「危ない危ない。可愛くて、手繋いじゃうところだった」
あははと笑う顔が赤い。
きっと、おれが来るまで、ここで待っていてくれたのだろう。
涼しいコンビニの中で待っていてくれたらよかったのに。
そんなささやかな優しさに、胸がキュンとした。
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