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第12話

「この度の遠征、大儀であったね、ミーシャ。分隊長である君が最後まで居てくれたお陰であの地の民は私を認めてくれたと聞いているよ」 「温かいお言葉、感謝の念に耐えません」 国王陛下から呼び出され、俺は城でそのお言葉を賜り、今回の褒美として厩舎の近くに造られた屋敷を住居として与えられた。 召使いも用意すると言われたがそれは固辞し、私物を纏め、宿舎を片付けると俺は新居に向かって歩いた。 その最中、俺はあの青い瞳が俺を見ているのを見つけてしまったんだ。 「ミーシャ!!」 駆け寄ってくるその姿に魅入られ、俺は動けなかった。 「おかえり、ミーシャ!!」 人目もはばからず抱きついてきたアレクサンドル。 あぁ、やはり俺にはこの温もりが必要なんだと思い知らされた。 「会いたかった」 聞いた事のないような甘い声で耳元でそっと囁かれて、胸が高鳴っていくのを感じる。 「オレの事、避けてたよね?ミーシャ。ホントのコト話してくれるまで絶対離さないから」 その腕が俺の背中に伸び、俺をきつく抱き締めてくれた。 「……済まない、お前にとっての幸せは俺といる事じゃないと思ったから離れたんだ」 俺はアレクサンドルの耳元で言うと、その背中に腕を伸ばす。 「ふたりきりで話さないか」 そう言って抱き締め返すと、アレクサンドルはゆっくりと頷いてくれた。

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